ブロック塀解体工事の労務単価表|内訳や工事の内容について
目次
エクステリアや外構工事を請け負う業者にとって、ブロック塀の解体工事に関する詳細を押さえておくことは非常に重要です。特に、解体工事にかかる労務単価をしっかり把握しておくことで、依頼者が安心感を抱くことができ、信頼感を持ってくれた状態で工事を実施できます。
当記事では、ブロック塀解体工事にかかる費用を明朗にするうえで役立つ、労務単価を記載した単価表を作成しています。また、ブロック塀解体工事に関連する、
- 工事の基本的な流れ
- 項目別の単価
- 解体工事が必要なブロック塀の特徴
- ブロック塀の解体工事におけるトラブル防止策
についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ブロック塀解体工事の基本的な流れ
ブロック塀解体工事の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 依頼を請け負う
- 近隣挨拶を行う
- マーキング・コンクリートカッターを入れる
- 手作業もしくは重機で解体工事を開始する
- ブロック破片などの廃棄物を処分する
- 残ったブロックのセメント補修と片付けをする
ブロック塀の解体工事は、まず最初に依頼内容を確認し、請け負います。続いて、工事の騒音や振動に配慮して近隣住民へ事前に挨拶を行ってください。
なお近隣挨拶については、依頼者と一緒に行うパターンと、施工側のみで行うパターンがあるので、どちらを選択するかも依頼者とすり合わせておきましょう。
近隣挨拶を終えたら、解体工事の準備としてマーキング・コンクリートカッター入れを行います。
その後、ブロック塀の解体を進めます。解体は手作業または重機を使用して行うため、時間と労力を適切に配分することが大切です。
なお、解体により出たブロックの破片などの廃棄物は適切に処理し、環境への影響を最小限に抑えてください。最後に、残ったブロックのセメント補修と後片づけを行い、安全で清潔な状態に戻して完了です。
ブロック塀の解体工事にかかる労務単価表
ブロック塀解体を行うブロック工の労務単価は、国土交通省の発表する「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」を参考にしてください。地域別では以下のようになっています。
・北海道:- |
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情報引用:国土交通省|令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について
なお同データにおける調査(令和5年10月実施)では、ブロック工に関する有効票本数が十分に確保できなかったとの記載がありました。
そのため、公共工事設計労務単価としての設定に至らなかった職種であるとして、一部記載のない都道府県があることをご理解ください。
ブロック塀の解体工事の単価内訳
ブロック塀の解体工事には、労務単価である人件費を含めた、以下の工事費用がかかります。
- 人件費
- 運送費
- 廃棄処分費
- 諸経費
ここでは、ブロック塀の解体工事にかかる単価の概要と、それぞれの簡単な相場を紹介します。
人件費
ブロック塀の解体に必要な人数は、ブロックの大きさや状態、取り掛かる日数や作業の進行具合などさまざまな要因によって決まります。
例えば、解体方法が手作業か重機かによっても、必要となる人数は変わります。手作業で行う場合、重機を使用するよりも多くの人手が必要となり、さらに作業に掛かる日数も長くなるでしょう。これにより、費用もそれに応じて増えることとなります。
したがって、解体工事は各種の要因を考慮したうえで、最適な人員配置とコストを管理することが求められるのです。
なお、ブロック塀解体にかかる人件費については、当記事でも紹介した国土交通省の発表する「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」を参考にしてください。
運送費
ブロック塀解体にかかる運送費は、使用するトラックによるものの、1台でおよそ5,000〜10,000円かかると認識しておきましょう。
重機を用いるブロック塀の解体には、重機の運送に伴う費用が発生します。また、依頼先の業者が自社で重機を所有していない場合、レンタルが必要となるため、レンタル料を運送費に上乗せしなければなりません。
さらに、解体後のブロックなどを適切に廃棄するためにはトラックが必要です。トラックの購入費やガソリン代、メンテナンス費用なども、運送費に反映されます。
廃棄処分費
ブロック解体工事には、廃材1個につき1,000円ほどの廃棄処分費がかかります。ブロック塀に使用されているブロックは「建築廃棄物」となるため、家庭ごみとして処理することができません。
そのため、中間処理場での処分費が別途かかってしまうのです。なお1,000円という金額はあくまで目安で、処分するのに特殊な処理が必要な廃材の場合、さらに高額になる可能性もあるでしょう。
諸経費
ブロック塀の解体工事には、解体費用の10〜15%ほどの諸経費がかかります。
諸経費には、現場管理費や書類作成費、機材の交換費や近隣住民への挨拶費が含まれています。
解体工事が必要なブロック塀の特徴
解体工事を請け負ううえでは、解体すべきブロック塀の状態についても理解しておくべきです。ここでは、解体工事が必要なブロック塀の特徴として挙げられる、以下5つの状態について解説します。
- ヒビ・亀裂がある
- 傾いている
- 築年数が経過している
- 極端な高さがある
- 耐震対策がされていない
ヒビ・亀裂がある
ブロック塀にヒビや亀裂が見受けられる場合、補修や解体を急ぐべきです。ブロック塀はその厚さから、一見小さなヒビ割れでも倒壊へとつながる可能性があるためです。
さらに、ヒビ割れから雨水が侵入すると、塀の内側から劣化し始める危険性もあります。
傾いている
傾きがあるブロック塀は、解体が必要となります。ブロック塀は地震や台風のような自然災害による風圧に晒されると、倒壊する可能性があるためです。
結果、人々や車両に対して深刻な被害をもたらす危険性もあります。
ブロック塀の解体が必要か、傾きで判断する際は、以下を参考にしてください。
- 目視で確認できる明らかな傾きがある
- 傾斜計による測定結果が基準値を上回っている
築年数が経過している
ブロック塀は築年数が経過すると劣化し、倒壊する可能性が出てきます。そのため、安全確保の観点から、解体すべきと判断できるでしょう。
ブロック塀の寿命は、大体30年程度とされています。また、内部の鉄筋については、約20年経過すると寿命と言われています。
したがって、築後30年以上経過したブロック塀は、見た目に問題がなくても、自然災害等で崩壊するリスクがあるでしょう。特に、基礎部分が傾いている場合については、倒壊の危険性も高まるため、解体が必要です。
極端な高さがある
既存の状態で、極端に高いブロック塀も、解体が必要と判断できるでしょう。全国建築コンクリートブロック工業会のデータによると、ブロック塀の高さは最大2.2mまでに制限されています。
また、控壁なしのブロック塀、控壁ありのブロック塀で、それぞれ以下の高さが推奨されています。
- 控壁なしのブロック塀:1.2〜1.6mm
- 控壁ありのブロック塀:1.4〜2.2mm
したがって、これらの数値以上の高さがあるブロック塀は、すぐに解体する必要があると判断できます。
耐震対策がされていない
建築基準法に準拠したブロック塀は、大規模地震に対しても基本的に倒壊することはないよう、耐震補強が行われています。しかし、ブロック塀が耐震補強を受けていない場合、安全性は保障されません。
そのため、安全を確保し、耐震性を向上させるためには、耐震補強未施工のブロック塀を解体し、耐震補強を施した新たな塀に再建することが求められるのです。
ブロック塀の解体工事時にトラブルを防ぐには
ブロック塀の解体工事を請け負う際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- ブロック塀の解体工事を行う旨を近隣住民に伝える
- ブロック塀を所有しているのは誰かはっきりさせる
- 明朗会計だとわかる見積書を作成する
- 補助金の利用を提案する
ここでは、ブロック塀の解体工事時にトラブルを防ぐために重要なポイントについて解説します。
ブロック塀の解体工事を行う旨を近隣住民に伝える
ブロック塀の解体工事を行う際には、近隣住民への挨拶が重要です。その理由としては、解体工事に伴う騒音や振動による迷惑、安全上の配慮、そして誤解やトラブルの防止が挙げられます。
事前に工事の内容を伝えることで、近隣住民の理解を得ることができ、安全対策を理解してもらうことも可能です。
事前通知の方法としては、直接訪問・チラシ・回覧板などがあります。直接訪問はもっとも丁寧で、工事の日程や内容、騒音や振動の対策などを詳しく説明できます。また、住民の不安や疑問にも直接答えられるのもポイントです。
チラシは情報を簡潔に伝え、多くの住民に配布することが可能です。回覧板は、町内会を通じて確実に情報を届けることができます。
近隣挨拶時に伝えるべき内容としては、以下のとおりです。
- 工事の日程(開始時間、終了時間、休工日)
- 工事の内容(解体するブロック塀の場所、解体方法、重機の使用有無)
- 騒音や振動の対策(防音シートや防振マットの使用、作業時間の制限)
- 連絡先(工事に関する問い合わせ先、苦情を受け付ける窓口)
これらを適切に伝えることで、ブロック塀解体工事による近隣住民への影響を最小限に抑えることが可能です。
近隣挨拶の重要性については「工事前の近隣挨拶が成否を分ける|挨拶文の書き方やテンプレートを紹介」もあわせてご覧ください。
ブロック塀を所有しているのは誰かはっきりさせる
解体工事を行う前に、ブロック塀の所有者を明確にすることが重要です。
所有権が不明確な場合、勝手に解体してしまうと所有者から損害賠償を請求される可能性があります。また、解体費用の負担者が不明確になる問題や、隣地との境界線がはっきりしないことからトラブルが発生することもあるでしょう。
所有権を確認する方法としては、登記簿謄本の確認や境界杭の確認、隣人との話し合いなどがあります。
登記簿謄本は法務局で取得でき、所有者や土地の境界線が記載されています。境界杭は土地の境界を示すもので、地中に埋設されていることが多く、これを確認することも有効です。
さらに、隣人と話し合い、境界線を確認することも重要です。境界線が不明確な場合は、土地家屋調査士に調査を依頼することも考慮すべきでしょう。
なお、ブロック塀の所有権が不明確な場合の解決方法としては、弁護士や土地家屋調査士への相談などがあります。専門家に相談することで、所有権の調査や解決方法をアドバイスしてもらえるでしょう。
明朗会計だとわかる見積書を作成する
ブロック塀の解体工事における見積書作成は、費用の明確性が求められます。当記事「ブロック塀の解体工事の単価内訳」でも紹介した、各費目や作業ごとの詳細な費用が記載されていることが理想的です。
これにより、どの部分にどれだけの費用がかかるのかを依頼者が把握でき、かつ施工側における予算管理や工事進行にも役立ちます。
なお、見積書のフォーマットをどこで入手すべきか悩んでいる場合は、弊社クラフトバンクが無料でプレゼントしている見積書テンプレートをぜひご活用ください。
補助金の利用を提案する
ブロック塀の解体工事を実施する前に、依頼者に対して補助金制度の利用を促すことが大切です。
自治体によって、ブロック塀の解体工事を対象とした補助金や助成金制度があります。
施工前に補助金の案内をしておらず、施工後に補助金の存在を知った場合はトラブルになりやすいため、漏れなく案内しておくようにしましょう。
まとめ
今回は、ブロック塀の解体工事にかかる労務単価を表にまとめて紹介しました。
ブロック塀の解体工事は労務単価だけでなく、運送費や廃棄処分費、各種諸経費がかかることも覚えておきましょう。
なお今回は、解体が必要なブロック塀の特徴や、解体工事におけるトラブル防止策も紹介しているので、ブロック工として事業を展開していくうえでの参考情報としてお役立てください。