現場管理費の内訳17項目|一般管理費との違いや計算方法を解説
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目次
現場管理費とは、現場を適切に管理するための費用です。
労務管理費や法定福利費、保険料などが現場管理費に含まれます。
工事費を正確に見積もるには、現場管理費を把握することが大切です。
この記事では、現場管理費の内訳17項目や計算方法を紹介します。
現場管理費と一般管理費との違いまで詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
現場管理費とは
![](https://images.microcms-assets.io/assets/84ef64fd459043fe945a57077425dd7c/069ab915a7b0436790a134e5464cb2bd/image.png)
現場管理費とは、工事現場を管理するための費用のことです。
具体的には
- 労務管理費
- 外注経費
- 退職金
- 福利厚生費
などが現場管理費に含まれます。
工事に直接関係する費用でないものの、現場管理費に大きな誤差が生じると、工事が赤字になる可能性があります。
正確に工事費用を見積もるには「何が現場管理費に含まれ・どのように計算するのか」を理解しておくことが重要です。
現場管理費と一般管理費の違い
![](https://images.microcms-assets.io/assets/84ef64fd459043fe945a57077425dd7c/c70b887d972e4172b4c02b28abc470ea/image.png)
一般管理業務を行うためにかかる費用を「一般管理費」と呼びます。
一般管理費には
- 現場以外で勤務する従業員の給与・福利厚生費
- 広告宣伝費
- 事務所の家賃
などが含まれます。
参考画像からわかるように、一般管理費は工事現場でかかる費用でないため、工事原価には含まれません。
工事費について理解するために、基礎用語を以下の表にまとめました。
用語 | 意味 |
---|---|
工事費 | 工事価格と消費税を合わせた費用 |
工事価格 | 工事原価と一般管理費を合算したもの |
工事原価 | 1つの工事を完了させるまでにかかる費用、完成工事原価とも呼ばれる |
一般管理費 | 会社の運営・維持にかかる費用 |
純工事費 | 直接工事費と共通仮設費を合わせた費用 |
現場管理費 | 現場管理に必要となる費用 |
直接工事費 | 工事に直接かかる費用 |
共通仮設費 | 防音シートや足場の設置費用など、現場の仮設物にかかる費用 |
簡単にまとめると、現場の管理に必要となるのが「現場管理費」で、会社運営に必要となるのが「一般管理費」です。
現場管理費の内訳
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現場管理費の内訳を17項目紹介します。
1つずつ見ていきます。
労務管理費
労務管理費とは、現場で働く作業員に対して、給与以外にかかる費用です。
労務管理費に含まれるのは
- 作業員の食事代や通信費
- 作業服代
- 作業用具代
- 人員募集の費用
などが挙げられます。
外注経費
外部の企業に対して工事を依頼する際の費用は「外注経費」として計上します。
一部の業務を外部委託したときや、現場監督を外注したときの費用は、外注費用として処理して構いません。
ただし、企業によっては外注経費を労務管理費に含めるケースもあります。
作業員の給料手当
現場で勤務する作業員の給料も現場管理費に含まれます。
毎月支払われる基本給はもちろん、次のような各種手当て・賞与も「作業員の給料手当」として計上しましょう。
- 危険手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 時間外手当
- 休日手当
危険な作業が多い建設業では、特殊勤務手当に該当するケースが多いです。
費用計上の抜けモレがないように注意してください。
退職金
作業員に支払う退職金は、労務管理費や給料手当とは別に「退職金」として計上します。
なお、定年退職のほか、自己都合の退職や解雇も退職金の支給対象です。
安全訓練にかかる費用
安全に工事を進めるための研修・訓練にかかる費用です。
安全教育に関する研修費用や、取引先との安全大会の開催費用が含まれます。
保険料
工事現場にかける火災保険や自動車保険、組立保険、法定外の労災保険に関する項目です。
建設業はリスク管理のため、他の業界よりも加入する保険が多いです。
そのため、各保険料を適切に管理する必要があります。
法定福利費
法定福利費とは、法律で支払いが義務づけられた福利厚生の費用のこと。
具体的には、雇用保険料や労災保険料、健康保険料、厚生年金保険料などが該当します。
福利厚生費
法定福利費以外で、福利厚生にかかわる費用は「福利厚生費」として扱いましょう。
該当するのは健康診断や慶弔見舞、慰安旅行、レジャー施設の優待などです。
補償費
建設業では工事による振動や騒音、濁水によって現場周囲に悪影響を与える可能性があります。
工事が原因となり第三者に補償を支払う場合は、補償費として計上してください。
事務用品費
現場事務所で使用する、以下のような事務用品に関する費用です。
- パソコン
- 電話
- 文房具
- 新聞
- 図書
- コピー機
消耗品費として計上する企業もあるので、どちらで計上するのかを事前に確認しておきましょう。
交際費
接待費や宴会費、取引先の慶弔にかかる費用など、取引先の対応に必要となる費用は「交際費」として記録します。
起工式・落成式といった、建設業ならではの費用も交際費に該当します。
動力用水光熱費
工事現場や現場事務所で使用する電力・水道・ガスにかかる費用です。
電気設備や給排水設備の設置にかかった費用も、動力用水光熱費に含みます。
なお、現場管理費ではなく「共通仮設費」に含めることも可能です。
通信交通費
業務にまつわる通信費や交通費は「通信交通費」として計上します。
具体的な通信交通費の例は、次のとおりです。
- 電話代
- インターネット費用
- 移動にかかる定期代やバス代、タクシー代
- 車のガソリン代
- 車検代
- 郵送費用
- ヘルメットに装着する小型カメラの購入費用
- 監視カメラの購入費用
近年では、現場のIT化が進んでいるため、通信交通費にかかる費用が増加傾向にあります。
工事登録にまつわる費用
工事の実績登録にかかる費用を計上する項目です。
業務データを登録することで、工事がスムーズに進みやすくなります。
租税公課
自治体に支払う手数料・罰金と国に納める税金、公共団体に支払う会費を合わせて「租税公課」と呼びます。
建設工事で押さえておくべき主な租税公課は
- 契約書の印紙代
- 申請書の証紙代
- 固定資産税
- 自動車税
上記4点です。
公共事業労務費調査の費用
農林水産省および国土交通省が実施する、公共工事に従事する労働者の賃金に関する調査を「公共事業労務費調査」といいます。
社会保険加入の有無や、作業員の給与額などが調査対象です。
公共事業労務費調査でかかった交通費や書類代は、現場管理費に該当します。
参考URL:公共事業労務費調査・公共工事設計労務単価について
その他雑費
ここまで紹介した項目の、いずれにも該当しない費用は「その他雑費」として扱います。
現場管理費を把握するメリット
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現場管理費を把握するメリットは、主に4つあります。
- 工事費を正確に把握できる
- 内訳を見ることで無駄な費用がないかを確認できる
- 工事費の正当性を説明できる
- 値引き交渉に対応できる
現場管理費は、工事費に含まれる重要な費用です。
もし現場管理費を把握できていなければ、工事費が高くなって受注が困難になったり、工事費が低くなって工事が赤字になったりします。
さらに、労務管理費や外注経費など、内訳ごとの経費を確認すれば、無駄な費用が発生していないかを見直せるでしょう。
現場管理費を管理することで、工事費の正当性を説明することも可能です。
取引先から現場管理費を値引き交渉された場合でも
- 「安全訓練を実施するには〇〇円必要となり、値引きは難しいです」
- 「今回の工事では保険料が✕✕円かかるので、〇〇円以下にはできません」
上記のように、根拠を持って適切に対処できます。
現場管理費の計算方法
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現場管理費の計算方法は、次の2種類です。
- 経費を積み上げて算出する
- 現場管理費率を使用して算出する
計算方法①の場合、「現場管理費の内訳」で紹介した17項目の費用をそれぞれ見積り、全体的な現場管理費を求めます。
計算方法②の場合に使用する計算式は、以下のとおりです。
【現場管理費の計算式】
純工事費×現場管理費率+積み上げ
具体的に
- 純工事費:173,632,309円
- 現場管理費率:11.52%
- 積み上げ:なし
上記の場合ならば「173,632,309×11.52+0」となり、現場管理費は20,002,441円と計算できます。
なお、現場管理費率は工種によって算定式が異なります。
現場管理費率の算出方法は「「公共建築工事共通費積算基準」(令和5年改定)における共通費の算定について」をご参照ください。
参考URL:公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例
現場管理費を設定するときの注意点
![](https://images.microcms-assets.io/assets/84ef64fd459043fe945a57077425dd7c/3ffe50ddde414d4f9a83be22cd56f6a2/image.png)
現場管理費を設定するときの注意点を、3つピックアップしました。
- 工事費への影響を考慮する
- パーセントを増やしすぎない
- パーセントを減らすときは現場の意見を聞く
現場管理費が高くなるほど工事費も高額になり、受注のしやすさに影響します。
現場の労働環境を快適にしたいからといって、現場管理費のパーセントを増やしすぎると、受注が困難になる恐れがあります。
現場管理費をおさえたい場合は、現場の意見を聞きながら、費用を削減すべき箇所を検討しましょう。
たとえば「新聞を読んでいる人はほとんどいないので無くしても問題ない」や「電子化が進めば事務用品費を削減できそう」など、現場ならではの業務改善案を聞ける可能性があります。
まとめ:正確な工事費を知るために現場管理費を把握しておきましょう
今回の記事は、現場管理費の内訳17項目や計算方法を解説しました。
現場管理費を把握するメリットは
- 工事費を正確に把握できる
- 内訳を見ることで無駄な費用がないかを確認できる
- 工事費の正当性を説明できる
- 値引き交渉に対応できる
上記4点です。
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