【書き方の例】リスクアセスメントの概要や重要性について

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目次

リスクアセスメントは、職場の安全と健康を守るための重要なプロセスです。企業や組織がその活動に伴うリスクを評価し、適切な対策を講じることで、労働災害を未然に防ぐことができます。本記事では、リスクアセスメントの概要も踏まえた、以下のトピックをまとめました。

  • リスクアセスメントの目的や必要性
  • リスクアセスメントの手順
  • リスクアセスメントによる効果

また、リスクアセスメントの書き方の例も掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

リスクアセスメントとは?

リスクアセスメントとは、職場に存在する潜在的な危険や有害要素を特定し、そのリスクを評価するプロセスのことです。この評価を基にして、適切なリスク低減措置を講じることが求められます。

リスクアセスメントは、安全管理の基本であり、法令で義務付けられている場合がほとんどです。特に危険な作業の伴う建設現場においては、リスクアセスメントが重要と考えられます。

ここからは、リスクアセスメントに関する以下の視点について解説します。

  • リスクアセスメントの目的
  • リスクアセスメントはなぜ必要か
  • リスクアセスメントが未実施だとどうなるのか

リスクアセスメントの理解を深めるうえでも、ぜひ参考にしましょう。

リスクアセスメントの目的

リスクアセスメントの目的は、労働者の安全と健康を守ることです。具体的には、危険性・有害性の特定とリスクの評価、労働災害の未然防止、安全対策の優先順位の明確化、継続的な安全管理の改善などが挙げられます。

リスクアセスメントはなぜ必要か

リスクアセスメントが必要な理由は、職場に潜む危険を明らかにし、適切な対策を講じて労働災害を防ぐためです。労働災害が発生すると、労働者の健康や生命が脅かされるだけでなく、企業の生産性や社会的信用にも大きな影響を及ぼします。

リスクアセスメントが未実施だとどうなるのか

リスクアセスメントを実施しない場合、労働災害の発生リスクが高まり、労働者の安全と健康が脅かされることになります。また、労災による経済的損失が発生し、法的責任を問われる可能性もあるでしょう。さらに、企業の評判が損なわれるなどの問題も生じます。

建設業における「リスク」とは?

建設業には、工事現場や経営管理において多くのリスクが存在しています。

工事現場でのリスクとしては、以下が考えられます。

  • 火災や爆発の危険
  • 台風や暴風による足場の崩壊
  • 雷雨が原因の機械損壊
  • トラックなどの車両の衝突による工事物の損壊
  • 資材置場での資材崩れによる作業員の負傷や死亡
  • 作業員の高所からの落下
  • クレーンの転倒による作業員の負傷や死亡

一方、経営管理面でのリスクに挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 工事の遅れ
  • 工事費用が契約額を超えるリスク
  • 工事が原因による第三者への損害
  • 工事目的物に瑕疵が発生するリスク
  • 急な支出や売上回収の遅れによる資金繰りの困難さ

これらのリスクを特定し、低減または除去するための方法が、リスクアセスメントなのです。

事故や災害を減少させるためには、発生頻度と重篤度を考慮し、未然に対策を講じることが重要です。

リスクアセスメントの手順

リスクアセスメントは、以下の手順で進めるのが一般的です。

  1. 危険性・有害性の特定
  2. 危険性・有害性リスクの見積もり
  3. リスク低減措置の検討と実施
  4. 導入効果の記録と確認

ここでは、リスクアセスメントを進めるうえで必要なステップについて解説します。

1.危険性・有害性の特定

リスクアセスメントの第一歩は、職場に存在する危険性や有害性を特定することです。これには、現場の視察、作業手順の確認、過去の事故やヒヤリハットの分析、労働者からの意見聴取などの方法が用いられます。

2.危険性・有害性リスクの見積もり

次に、特定された危険性や有害性について、そのリスクを見積もります。リスク見積もりは、危険の発生頻度とその影響の大きさを評価することで行うのが一般的です。発生頻度の評価には、例えば「毎日」「週に一度」「年に一度」などの頻度が考慮され、影響の大きさの評価には「軽傷」「重傷」「死亡」などの程度が考慮されます。

3.リスク低減措置の検討と実施

リスクの見積もりが完了したら、次にリスクを低減するための措置を検討し、実施します。リスク低減措置には、工程の変更や代替、安全装置の設置、作業環境の改善、労働者への教育と訓練などの方法があります。

4.導入効果の記録と確認

最後に、導入したリスク低減措置の効果を記録し、定期的に確認します。これにより、措置が適切に機能しているかを評価し、必要に応じて改善を行います。

リスクアセスメントの書き方の例

リスクアセスメントの書き方については、以下の例を参考にしてください。

危険性/有害性

発生頻度

影響の大きさ

リスク評価

リスク低減措置

実施日

機械の挟み込み

毎日

重傷

安全装置の設置

2024/1/1

化学薬品の漏れ

週に一度

軽傷

作業手順の見直し

2024/1/10


また厚生労働省では、マトリクスを用いた方法や数値化による加算法を例として、リスクアセスメントの書き方の例を紹介しているので、こちらも参考にしてください。

厚生労働省|事例でわかる職場のリスクアセスメント

リスクアセスメントによる効果

リスクアセスメントを実施することで得られる効果は、多岐にわたります。

  • リスクを明確にできる
  • 労災発生率を低下させられる
  • 安全意識を向上できる
  • 従業員満足度がアップする
  • 安全衛生対策の優先度を把握できる

ここでは、リスクアセスメントによる5つの効果について詳しく解説します。

リスクを明確にできる

リスクアセスメントの最も基本的な効果は、職場に潜むリスクを明確にすることです。リスクを特定し評価するプロセスを通じて、企業はどの作業や環境が危険を孕んでいるのかを把握することができます。

これにより、リスクに対する具体的な対策を講じることが可能になり、潜在的な危険を未然に防ぐことも可能です。また、リスクが明確になることで、従業員一人ひとりが自身の業務に関連するリスクを理解し、適切な注意を払うようになります。

労災発生率を低下させられる

リスクアセスメントを通じて特定されたリスクに対して、適切な対策を講じることで、労災の発生率を大幅に低下させることができます。具体的には、安全装置の導入、作業手順の見直し、作業環境の改善などの措置が考えられます。

これらの対策は、危険な作業を安全に行うための手段として非常に有効です。労災が発生しない環境を整えることで、企業は労働者の健康と生命を守ることができ、結果として労災に伴う経済的な損失や企業の評判低下を防ぐことにつながります。

安全意識を向上できる

リスクアセスメントを実施することで、従業員の安全意識を高めることができます。リスクアセスメントの過程で従業員が自ら危険を認識し、それに対する対策を考える機会となります。

これにより、従業員は安全な作業方法を身につけ、自身の安全に対する責任感が高まるでしょう。また、安全意識の向上は、職場全体の安全文化を育むことにもつながります。

企業は定期的にリスクアセスメントを実施し、その結果を従業員と共有することで、安全意識の維持・向上を図ることが可能です。

従業員満足度がアップする

安全で健康な職場環境を提供することは、従業員の満足度向上にも寄与します。リスクアセスメントを通じて職場の安全対策が強化されると、従業員は安心して働くことができるようになるでしょう。

これは、従業員の精神的・肉体的なストレスを軽減し、仕事への集中力やモチベーションを高める効果があります。また、安全な職場環境は、従業員の離職率を低下させる効果もあります。従業員が安心して長く働ける環境を提供することは、企業の生産性向上にもつながるでしょう。

安全衛生対策の優先度を把握できる

リスクアセスメントは、安全衛生対策の優先順位を明確にするための重要なツールです。リスクの評価を通じて、どのリスクが最も重大であるか、どの対策が最も効果的であるかを判断することができます。

リスクアセスメントにより、限られたリソースを最も効果的に配分することも可能になります。例えば、頻度の高いリスクや影響の大きいリスクに対して優先的に対策を講じることで、全体的な安全レベルを効率的に向上させられるでしょう。

企業は、リスクアセスメントを定期的に見直し、常に最新のリスク情報を基に安全衛生対策を更新することが求められます。

まとめ

リスクアセスメントは、職場の安全と健康を守るための重要なプロセスです。

危険性・有害性の特定からリスクの見積もり、リスク低減措置の検討と実施、そしてその効果の確認まで、一連のプロセスを適切に実施することで、労働災害を未然に防ぐことができます。

危険な作業の多い建設業を営む企業には、リスクアセスメントを積極的に実施し、安全で健康な職場環境を提供することが求められます。