塗装工事の品質管理とは|チェックシートの重要性や書き方を紹介

目次
塗装工事の品質管理とは、丈夫で美しい施工を行うために、検査・検証をすることです。
一般的には、塗装工事の品質管理では「チェックシート」が用いられます。
チェックシートを活用すれば、確認作業を正確かつ迅速に進められるため、業務効率アップにつながるでしょう。
この記事では、塗装工事における品質管理の手法として、チェックシートの重要性や書き方を紹介します。
チェックシートの書き方を理解して、質の高い施工を行いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
塗装工事の品質管理ではチェックシートを活用する

塗装工事の品質管理とは、耐久性が高く美しい塗装を保証するために、検査・検証を行うことです。
塗装工事では足場の設置から高圧洗浄、外壁塗装など……、さまざまな作業が発生します。
作業工程のどれか1つにでも不備があれば、質の高い施工を行えません。
人が作業する以上はヒューマンエラーが起きる可能性がありますが、具体的な対策を講じることで不備を減少させることは可能です。
塗装工事では、一般的に「チェックシート」を用いて品質管理を徹底します。
チェックシートにはあらかじめ確認内容が記載されており、作業員は項目ごとに施工箇所の状態を確認します。
チェックシートを活用すれば、確認作業を漏れなくスムーズに進められるため、業務効率と品質の向上につながるでしょう。
塗装工事でのチェックシートの書き方

塗装工事でのチェックシートの書き方を、項目ごとに解説します。
記入例も紹介するのでチェックシートを活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
①報告年月日
チェックシートでの確認結果を報告する年月日を記載します。
②委託業務名
外注業者に委託する業務を
- 外壁塗装
- 内装塗装
- シーリング工事
- 防水工事
- コーキング工事
上記のように明記します。
外注業者に業務を委託する際は、作業範囲を明確にすることが重要です。
③対象工事名
塗装工事の基本情報として、「外壁屋根塗装工事」や「〇〇学校塗装工事」のように対象工事名を記します。
④受託者
発注元から依頼を受けた受託者の氏名を書きましょう。
⑤業務担当員
業務担当員の氏名を書く欄です。
塗装工事では、委託業務が円滑に進むように「業務担当員」が定められます。
業務担当員は委託業務について連絡指導等を行います。
⑥委託期間
委託期間の開始年月日と終了年月日を記す項目です。
⑦監理技術者
監理技術者の氏名を記載します。
なお、現場の技術水準を維持するために配置される技術者を「監理技術者」といいます。
塗装工事で監理技術者となるには
- 1級土木施工管理技士
- 1級建築施工管理技士
上記の資格が必要です。
建設業法では監理技術者の配置について、次のように定められています。
建設業法
第26条の3
(主任技術者及び監理技術者の設置等)
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。
建設業法の「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事」とは具体的に、請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事を指します。
参考URL:監理技術者⼜は主任技術者となり得る国家資格等
参考URL:監理技術者等が工事現場に専任すべき工事
参考URL:建設業法 | e-Gov法令検索
⑧受注者
受注者とは、発注者から工事を請け負った請負人を意味します。
受託者・受注者の氏名を書き間違わないように注意してください。
⑨現場代理人
現場代理人の氏名を記載します。
請負業者の代わりに責任者として、工事現場を監督する役割を果たします。
なお、一定の条件を満たせば、監理技術者と現場代理人を兼任することは可能です。
監理技術者とは異なり、現場代理人に特別な資格は要しません。
ただし、現場を取り仕切るためには、塗装工事に関する知識や経験が求められます。
参考URL:建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者
参考URL:現場代理人及び技術者等の適正配置について(通知)
⑩確認方法
それぞれの確認項目にもとづき、確認方法を示します。
確認方法の記入例は、以下のとおりです。
確認内容 | 確認方法の記入例 |
---|---|
作業管理体制 | 業務担当員・監理技術者・現場代理人を選任し、氏名および作業内容等を現場に提示している。 |
見本帳又は見本塗り板の作成 | 施工計画書に基づき、作成している。 |
錆止め塗料塗り | 施工計画書に基づき適切に塗装を行い、管理している。かつ記録が整備されている。 |
具体的な確認方法を記載することで、施工の品質向上につながります。
⑪確認日
品質管理において「いつ確認したのか」は重要な項目です。
チェックしたタイミングで日付を記入しておきます。
⑫指摘内容
確認内容に対して指摘がある際は、指摘内容の欄に詳細を記します。
第三者が読んでもわかりやすいように、具体的かつ簡潔に指摘をまとめましょう。
⑬修正内容
指摘内容にもとづいて変更した内容を、修正内容として記録します。
塗装工事の品質管理でチェックシートが重要となる理由

最後に、塗装工事の品質管理でチェックシートが重要となる理由を、4つピックアップしました。
- 確認作業をスムーズに進められる
- 職人のミスを防止できる
- チェックの抜け漏れを減らせる
- 外注業者の手抜き作業を防止する
1つずつ見ていきます。
確認作業をスムーズに進められる
チェックシートには
- 材料の種別ごとの数量
- 材料の色の確認
- よごれや付着物の除去および補修
- 仕上がりの状態
上記のような確認項目が、あらかじめ記載されています。
「どの施工箇所で・何をチェックすべきか」を簡単に把握できるため、確認作業をスムーズに進められるでしょう。
ひととおりの確認が終わってから「塗装の仕上がり状態をチェックできていない」と再びチェック作業をする場合、無駄な時間が発生してしまいます。
確認手順の明確化は、業務効率に影響を与えるのです。
職人のミスを防止できる
塗装工事は職人による作業が主となるので、ヒューマンエラーが生じる可能性があります。
「ミスをしないように気を付けましょう」という呼びかけも必要ですが、不備の見逃しを防止する具体的な施策を講じることが大切です。
品質管理のチェックシートには「指摘内容」や「修正内容」といった項目が設けられています。
チェックシートを見直し・分析すれば、不備が発生しやすい作業やミスを防止する方法を見つけられるでしょう。
チェックの抜け漏れを減らせる
使用する材料や塗り工法、養生など……、塗装工事では多種多様な作業が発生します。
チェックシートを使用せずに確認を進めると、チェックの抜け漏れが生じる恐れも。
確認する項目をあらかじめ整理しておけば、誰がチェックをしても抜け漏れなく記録を残せます。
さらに、チェックシートでは確認した項目に関して「確認方法」と「確認日」を記入するので、チェックの有無をひと目で把握可能です。
外注業者の手抜き作業を防止する
塗装業者によっては、すべての工程を自社の作業員で担当することが困難で、外注業者に作業を依頼するケースもあるでしょう。
しかし、外注業者に施工からチェック作業までを任せていると、手抜き工事が行われるリスクが高まります。
チェックシートを活用して検査することで、外注業者の品質意識の向上が見込めるのです。
まとめ:塗装工事の品質管理ではチェックシートを活用しましょう
今回の記事は、塗装工事における品質管理の手法として、チェックシートの重要性や書き方を解説しました。
チェックシートが重要となる理由は
- 確認作業をスムーズに進められる
- 職人のミスを防止できる
- チェックの抜け漏れを減らせる
- 外注業者の手抜き作業を防止する
上記4点です。
チェックシートを用いて、施工箇所を1つずつ確認していく作業は大変に感じるかもしれません。
しかし、記録を残さずに確認作業を進めると、確認漏れや手抜き作業が発生する恐れがあります。
自社の信頼性を高めるために、チェックシートを活用して品質管理を行いましょう。