塗装工事の単価表の書き方を事業者向けに解説

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目次

工事の費用や資材の価格を表形式でまとめたものを「単価表」と呼びます。

塗装工事は建物の状態によって工事費用が変動するため、社内でも見積もりに個人差が生じやすいです。

単価表という基準を設ければ、見積もりにおける個人差を防止でき、より適正な工事費用を提示できます。

この記事では、塗装工事における単価表の必要性や、主な項目について解説します。

具体的な書き方や記入例も説明するので、塗装工事に携わる方はぜひ最後までご覧ください。

塗装工事における単価表とは

塗装工事における単価表とは、工事の費用や資材の価格を一覧形式でまとめた表です。

単価表は「分類・項目・詳細・単位・単価・備考」の項目で構成されます。

塗装工事では劣化状態や塗装箇所によって金額が変わるため、建物の状態を見るまで正確な価格を見積もれません。

現場での判断が重要視される分、基準がなければ社内でも、個人によって見積もりに差が生じる可能性があります。

つまり、単価表があることで価格の基準が設けられ、より適正な工事費用を設定できるのです。

塗装工事における単価表の必要性

塗装工事における単価表の必要性を4つピックアップしました。

  • 社内の見積もりにおいて個人差が生じにくい
  • 適正な価格を提示できる
  • 顧客からの信頼を得られる
  • 見積もり作成の業務を効率化できる

単価表によって価格に関する明確な基準ができると、見積もりの個人差が生じにくいです

さらに、単価表にもとづいた正確な工事費用を顧客に提示すれば、企業の信頼度アップが期待できます

見積もり作成のたびに「〇〇にかかる費用は?」や「✕平方メートルで✕円なら、今回は△円かかるだろう」と考えた場合、時間と手間がかかります。

あらかじめ単価表を作成することで、見積もり作業をスムーズに進められるでしょう。

塗装工事における単価表の主な項目

塗装工事における単価表の主な項目を6つ紹介します。

  • 分類
  • 項目
  • 詳細
  • 単位
  • 単価
  • 備考

1つずつ見ていきます。

分類

付帯塗装や外壁塗装、屋根塗装など……、工事における分類を記入する項目です。

分類分けされていない場合、それぞれの項目を探すのに時間がかかってしまいます。

作成時に分類でカテゴリ分けしておくと、単価表を見直す際に便利です。

項目

単価表の項目には、工事内容や使用する資材を記載します。

具体的には

  • 仮設足場
  • 養生シート
  • 高圧洗浄
  • シリコン系塗料
  • 無機系塗料

上記のような項目を記入しましょう。

詳細

項目だけでは分からないような仕様を明記します。

仕様によって価格は変動するため、正確な見積もりを作成するには欠かせない項目です。

単位

塗装工事では、次のような単位が用いられます。

  • 平方メートル
  • メートル
  • 箇所

施工内容が複雑で、いくつかの工程をひとまとめにする場合は「一式」として数えます。

一式でまとめると便利ではありますが、内容が不明確になる恐れもあるので注意してください。

単価

1単位あたりの具体的な価格を記入します。

単価表のメインとなる項目なので、間違いがないように正確に書きましょう。

備考

「〇〇の場合は別途費用が発生する」または「✕枚までの料金」など、他の項目に記載できない補足的な内容は備考欄に記載します。

補足する内容がない場合は、空欄のままで構いません。

【分類別】塗装工事の単価表の書き方・記入例

塗装工事の単価表の書き方・記入例を、以下の分類別に紹介します。

  • 外壁工事
  • 付帯塗装
  • 屋根工事
  • その他

なお、下記の単価はあくまでも目安としてください。

それでは、分類ごとに記入例を確認していきます。

外壁工事

外壁工事にまつわる単価表の記入例は、次のとおりです。

分類

項目

詳細

単位

単価

備考

外壁工事

弱溶剤ウレタン系塗料

平方メートル

約2,000円

外壁工事

水性シリコン系塗料

平方メートル

約2,200円

外壁工事

弱溶剤シリコン系塗料

平方メートル

約2,400円

外壁工事

水性シリコン系塗料(遮熱タイプ)

平方メートル

約2,700円

外壁工事

水性ナノ系塗料

平方メートル

約2,900円

外壁工事

水性フッ素系塗料

平方メートル

約4,100円

外壁工事

水性無機系塗料

平方メートル

約4,600円

外壁工事

光触媒系塗料

平方メートル

約5,200円

※下地調整の価格は含まれていません
※下地の状態で金額が変わります

参考URL:塗装工事の価格の目安は?

塗料の種類によって費用が異なるため、種類の書き間違いがないように気を付けましょう。

付帯塗装

付帯塗装とは軒天や破風板、雨戸などの「外壁と屋根以外の部分に関する塗装」を指します。

付帯塗装の単価について、以下の表にまとめました。

分類

項目

詳細

単位

単価

備考

付帯塗装

水性シリコン系塗料

平方メートル

約2,200円

付帯塗装

弱溶剤シリコン系塗料(遮熱タイプもあり)

平方メートル

約2,400円

付帯塗装

強溶剤シリコン系塗料

平方メートル

約2,800円

付帯塗装

水性無機系塗料

平方メートル

約3,800円

付帯塗装

弱・強溶剤フッ素系塗料

平方メートル

約3,800円

付帯塗装

弱溶剤フッ素系塗料(遮熱タイプ)

平方メートル

約4,700円

※下地調整の価格は含まれていません
※下地の状態で金額が変わります

参考URL:塗装工事の価格の目安は?

ただし、資材の市場価格は変動する可能性があります。

単価表の作成後も、状況の変化に応じて定期的に改定を行ってください。

屋根工事

屋根工事に関する単価表を作る際は、下記のデータを参考にしてください。

分類

項目

詳細

単位

単価

備考

屋根工事

破風板

メートル

約800円

屋根工事

軒天

メートル

約900円

屋根工事

帯板

メートル

約800円

屋根工事

雨戸

約2,600円

屋根工事

戸袋

約2,600円

屋根工事

霧よけ

メートル

約2,200円

屋根工事

換気フード

箇所

約500円

屋根工事

雨とい

メートル

約800円

屋根工事

水切り

メートル

約200円

屋根工事

笠木

メートル

約800円

屋根工事

コーキング打ち増し

メートル

約400円

屋根工事

コーキング打ち替え

メートル

約800円

屋根工事

濡れ縁

箇所

約3,500円

屋根工事

玄関灯

箇所

約1,200円

屋根工事

外灯

箇所

約800円

※下地調整の価格は含まれていません
※下地の状態で金額が変わります

参考URL:塗装工事の価格の目安は?

項目ごとの価格を設定することで、毎回の見積もり作成の手間を削減できます。

その他

分類分けが難しい項目は「その他」として扱います。

具体的な記入例は、以下のとおりです。

分類

項目

詳細

単位

単価

備考

その他

色見本作成

約2,500円

3枚まで(A4サイズ)

その他

カラーシュミレーション

約16,500円

シースルー

その他

雪止め(コロニアル)

メートル

約1,500円

後付け可

その他

雪止め(板金屋根)

メートル

約2,000円

後付け不可

その他

換気棟取り付け

メートル

約15,000円

板金のみ(貫き板別)

その他

棟板金交換

メートル

約2,500円

板金のみ(貫き板別)

その他

貫き板(タフモック)

メートル

約1,800円

腐食しない貫き板

その他

ガラス磨き

約24,000円

外側のみ

その他

雨戸の内側掃除

約26,000円

清掃のみ

その他

工事工程写真作成

約45,000円

各工程写真CDにて

その他

工事予約

約20,000円

着工日の指定

その他

職人指名(指名なしの場合)

0円

その他

職人指名(指名ありの場合)

約20,000円

その他

近隣挨拶(お知らせのみ)

0円

その他

網戸張替え

約3,000円

一般の網戸

その他

シロアリ駆除

約7,500円

その他

雨とい調整

約12,500円

部品別途

その他

雨とい掃除

約15,000円

軒・縦トイ共

その他

床下測定(温度・湿度)

約6,500円

温度・湿度計測(7日間)

その他

シロアリ調査

約12,000円

目視によるシロアリ調査

※下地調整の価格は含まれていません
※下地の状態で金額が変わります

参考URL:塗装工事の価格の目安は?

掃除や調査など、数量化が困難な場合は「一式」の単位で算出するとよいでしょう。

まとめ:塗装工事の単価表は適正価格を提示するために必要

今回の記事は、塗装工事における単価表の必要性や主な項目、書き方を解説しました。

塗装工事における単価表の必要性は

  • 社内の見積もりにおいて個人差が生じにくい
  • 適正な価格を提示できる
  • 顧客からの信頼を得られる
  • 見積もり作成の業務を効率化できる

上記4点です。

項目ごとに単価をまとめる作業は、面倒に感じるかもしれません。

しかし、事前に単価表を作ることで、毎回の見積もり作業の手間を削減できます。

今回紹介した記入例を参考にして、塗装工事における単価表を作成しましょう。