内装仕上げ表はエクセルで作るべき?主な作成方法を解説
目次
内装工事に着手するうえで、最終的にどういった仕上がりの内装になるのか確認するためのツールが必要になります。床や壁、天井などの内装の仕上げについてまとめた「内装仕上げ表」がその役割を果たします。
内装仕上げ表を作成する方法としては、各媒体が提供しているフォーマットの活用はもちろん、エクセルを活用した自社での作成が挙げられます。そこで今回は、エクセルで内装仕上げ表を作成する方法について見ていきましょう。
また、内装仕上げ表に関する、以下のトピックについてもまとめているのでぜひ最後までご覧ください。
- 内装仕上げ表の概要
- 内装仕上げ表の役割
- 内装仕上げ表の記載項目
- 内装仕上げ表作成時の注意点
- 工程管理ツールでの内装仕上げ表作成について
そもそも「内装仕上げ表」とは?
建築物における内部空間ごとに、床・壁・天井といった内装の仕上げについてまとめたもののことを「内装仕上げ表」といいます。
ここでは、内装仕上げ表の役割や記載項目、作成時の注意点について解説します。
内装仕上げ表の役割
内装仕上げ表は建築物の内装工事において、多くの重要な役割を担います。まず大きな役割として、業種・業態に応じた内装のコンセプトと仕上げ方法(素材や工法など)を詳細に示すことが挙げられます。これにより、内装工事の範囲、施工方法、使用材料などが明確になり、工事の品質と仕上がりの統一が図れるのです。
さらに、内装仕上げ表には、工事に必要な資格や許可、注意点などの重要情報も記載されます。これらの情報は、適切な工事の実施に不可欠です。加えて、内装仕上げ表の詳細な内容は、正確な見積もり作成にも役立ちます。
このことから内装仕上げ表は、内装設計と施工を円滑に進めるための計画立案、実施管理や費用算出など、さまざまな面で欠かせない役割を担っているツールと言えるでしょう。
内装仕上げ表の記載項目
内装仕上げ表には、以下の項目を記載するのが一般的です。
1. 下地材
床・壁・天井それぞれの下地材は、仕上げ材の定着や美観を左右する重要な基盤です。種類や施工方法を明確にすることで、仕上がりや耐久性を向上させることができます。
2. 仕上げ材
床にはフローリングやタイル、壁にはクロスや塗装、天井には壁紙や漆喰など、豊富な仕上げ材があります。それぞれの特徴や色、柄などを詳細に記載することで、空間全体のイメージを具体的に表現できるでしょう。
3. 仕上げ方法
塗装やクロス貼りの方法、目地処理の種類などを明確にすることで、美しい仕上がりを実現します。
4. 造作
幅木や廻縁などの造作は、空間にアクセントをもたらし、デザイン性を高める重要な要素です。種類やサイズ、設置場所などを詳細に記載することで、統一感のある空間を創造できます。
5. 付帯設備
照明器具や換気扇、手すりなどの付帯設備は、空間の機能性を高め、快適な住環境を実現します。種類や設置場所、仕様などを明確にすることで、使いやすく安全な空間を設計できます。
6. 電気設備の数
コンセントやスイッチの数、照明器具の回路などを明確にすることで、必要な電気設備を漏れなく設置することができます。
7. 内部特記事項
養生方法や搬入経路、既存設備の撤去方法など、工事に関する特記事項を記載することで、スムーズな施工を実現可能です。トラブルを未然に防ぎ、工期短縮につなげることもできます。
内装仕上げ表を作成する際の注意点
内装仕上げ表作成時には、いくつかの点に留意する必要があります。
まず、選定した素材や設備が打ち合わせ内容と合致しているかを確認しましょう。商品名や品番だけでは、色やグレード、機能など詳細が分かりにくいため、実物やカタログ、見本を確認するのが賢明です。
また、品番の数字や記号がわずかに違うだけで、仕様や価格が大きく変わる可能性があります。そのため、一つひとつ丁寧にカタログと照合し、正しい内容を反映させることが重要です。
さらに、施工時専用の仕上げ表を別途作成すれば、施主・設計者・施工者・職人などすべての関係者が、施工内容の詳細を一目で把握できます。
このように、慎重な確認作業と適切な資料作成が、内装仕上げ表の品質を高めるポイントとなるでしょう。
エクセルで内装仕上げ表を作成する方法
内装仕上げ表を簡単かつ正確に作成できるツールのひとつに、エクセルが挙げられます。ここでは、内装仕上げ表をエクセルで作成する方法を、以下4つのステップから解説します。
なお、以下の手法は、内装仕上げ表の基本的な作成方法に「エクセルでの作業」を加えた工程です。したがって、エクセル以外のフォーマットで内装仕上げ表を作成する際にも活用できます。
- 内装工事の工事項目を洗い出す
- 工期・作業人数を設定する
- 下請業者の段取りを立てる
- エクセルを使って作成する
1.内装工事の工事項目を洗い出す
全体の工程表を参考のうえ、まずは内装工事における工事項目を洗い出しましょう。そのうえで、内装工事の範囲を明確にすることが大切です。
2.工期・作業人数を設定する
洗い出した工事項目を参考に、工期と作業人数を設定します。過去の実績などをベースに、作業内容に応じた最適な工期の設定と人数の割り当てを実施しましょう。
3.下請け業者の段取りを立てる
下請け業者の工期・作業内容を調整します。内装工事では複数の下請け業者が関わることも多いため、業者ごとの段取りを立てたうえで全体的な工程を組み立てることが大切です。
4.エクセルを使って作成する
1〜3までの情報をもとに、エクセルで以下のような形の内装仕上げ表を作成します。
室名 | 床 | 壁 | 天井 | 備考 |
---|---|---|---|---|
玄関 | 材料名 | 材料名 | 材料名 | 工期・作業人数など |
居間 | 材料名 | 材料名 | 材料名 | 工期・作業人数など |
寝室 | 材料名 | 材料名 | 材料名 | 工期・作業人数など |
なおエクセルでの内装仕上げ表作成は、以下の場合に適しています。
- 基本的な形のものから作成したい
- 関係者間で情報共有をしたい
- コストを抑えて作成したい
内装仕上げ表をエクセルで作成するメリット・デメリット
ここでは、内装仕上げ表をエクセルで作成するメリット・デメリットをまとめています。
<メリット>
- 直感的な操作で作成できる
- 簡単に編集ができる
- 数量・金額の自動計算が可能
- 集計機能・グラフ作成機能の活用によるデータ分析も可能
- 共有がしやすい
- 無料で利用できる
<デメリット>
- 複雑な表の作成ができない
- セキュリティ面が脆弱
- 他のソフトで開くとレイアウト崩れを起こしやすい
- バージョン管理が難しい
内装仕上げ表はエクセルだけではなく工程管理ツールでも作れる?
内装仕上げ表はエクセル以外にも、工程管理を活用した作成も推奨されます。工程管理ツールとは、建築工事やリフォームなどの工程を一元管理できるソフトウェアのことです。内装仕上げ表も、工程管理ツールによって作成・管理ができます。
以下では、エクセルの代わりに工程管理ツールを活用するメリット・デメリットを紹介します。
エクセルの代わりに工程管理ツールで内装仕上げ表を作成するメリット
エクセルの代わりに工程管理ツールを活用して内装仕上げ表を作成することには、多くのメリットがあります。
まず、エクセルに比べて格段に効率的な作業が可能です。テンプレートや項目設定機能を駆使すれば、手間を大幅に省くことができるでしょう。
さらに、工程表や見積書など他の工事データとのシームレスな連携が図れます。一元管理によって情報の一貫性が保たれ、ミスのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
加えて、進捗状況の可視化により、工事の遅延や問題点を早期に特定し、適切な対応を講じることができます。またコメント機能やチャット機能を通じた、関係者間の円滑な情報共有とコミュニケーションも可能です。
そして何より、エクセルよりも高いセキュリティレベルを確保できる点が、工程管理ツールの大きな強みです。アクセス権限の設定や監査ログ機能を駆使すれば、情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。
エクセルの代わりに工程管理ツールで内装仕上げ表を作成するデメリット
工程管理ツールを利用するうえでは、いくつかのデメリットが存在することも視野に入れておきましょう。
まず、エクセルに比べて初期導入コストが高額になる点が挙げられます。無料ツールもありますが、機能面で制限があるケースも多いでしょう。
また、操作方法の習得にも一定の時間を要します。エクセルと異なる専門的な知識が必要となる場合もあるでしょう。
さらに、これまでエクセルで管理していたデータを、新ツールに移行する手間がかかる可能性もあります。
まとめ
内装仕上げ表は、内装のコンセプトや仕上げについて把握するうえで重要なツールです。作成方法は様々ですが、まずはエクセルを用いた簡易的なものから作成することを推奨します。
内装仕上げ表に記載する項目さえあらかじめ把握しておけば、エクセルの書式に沿って当てはめていくだけで簡単に作成可能です。
なお、場合によっては工程管理ツールを活用した作成が適している場合もあるので、本記事で紹介した内容を参考に自社での内装仕上げ表の作成方法について検討しましょう。