内装仕上工事業と建設業許可の関連|事業の特徴も踏まえて解説

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目次

内装仕上工事業を営む際、建設業の許可が必要になることがあります。今回は、内装仕上工事業における建設業許可について、以下の視点から解説します。

  • 内装仕上工事業における建設業許可の必要性
  • 内装仕上工事業の建設許可取得要件
  • 内装仕上工事業の建設許可取得の流れ

また、内装仕上工事業の概要や将来性についても触れているので、建設業許可との関連性も含めて参考にしてください。

内装仕上工事業とは?

内装仕上工事業とは、建築物の内装仕上げを行う建設業です。

具体的には、木材や石膏ボード、壁紙やカーペット、ふすまなどを使って、以下の工事を行います。

  • インテリア工事
  • 天井仕上げ工事
  • 壁張り工事
  • 床仕上げ工事
  • 内装間仕切り工事
  • たたみ工事
  • ふすま工事
  • 家具工事
  • 防音工事

内装仕上工事業は、新築や修繕、リフォームなどの際に重要な役割を果たします。内装は、建物の雰囲気を大きく左右するため、美しい仕上がりと高い技術が求められます。そのため、内装工事業を営むうえでは、きめ細やかな技術や手先の器用さが必要とされるのです。

業種・分類

内装仕上工事業は、建設業の29業種の1つに分類されており、業種コードは190番です。経済センサス産業分類では、大分類が「建設業」、中分類が「職別工事業(設備工事業を除く)」、分類コードは「078 床・内装工事業」に該当します。

情報出典:e-Start|経済センサス産業分類

内装仕上工事と内装工事の違い

内装工事と内装仕上げ工事は、ともにリフォームや新築時に建物の内部を施工する工事ですが、設備工事の有無が異なります。

内装工事は、内装仕上げ工事と設備工事の2つを合わせた工事です。内装仕上げ工事では、設計された内装デザインに沿って、壁・床・天井などの仕上げ工事を行います。クロスの張り替えや、フロアマットやタイルの敷設などが含まれます。内装の仕上がりは、建物の品質や雰囲気を大きく左右する重要な要素です。

一方、内装仕上げ工事は、電気・ガス・水道・空調などの設備工事は含まれません。建具やインテリアなど、暮らしに関わる部分やデザインを得意とする施工が中心となります。

内装工事は、設備工事も含む包括的な工事ですが、内装仕上げ工事は設備工事を含まない、より限定的な工事といえるでしょう。両者は建物の内部を仕上げる工事として密接に関連していますが、その範囲は異なります。

内装仕上工事業における建設業許可の必要性は?

ここでは、内装仕上工事業において建設業許可が必要とされる場面をまとめています。

契約金額が500万円を超える工事

建設工事の契約金額が500万円以上(消費税込)の場合、内装仕上工事を行う業者には建設業許可の取得が求められます。

契約金額が大きい建設工事を受注する際、建設業許可は品質と安全性を保証する重要な要件となります。建設業許可を取得することで、より大規模な工事を受注できるようになるのです。

一方、契約金額が500万円未満(消費税込)の場合は、建設業許可なしでも内装仕上工事を行うことができます。

特定建設業の許可が求められる工事

特定建設業許可は、大規模な建設工事を受注する際に必要となる重要な要件です。

ここでいう「大規模な工事」とは、発注者から直接請け負う建設工事で、下請代金が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の工事を指します。

内装仕上工事においても、下請代金が4,000万円以上であれば特定建設業許可が求められるのです。

特定建設業許可を取得することで、より大型の工事を請け負うことができるようになります。

顧客からの信用が重要になる工事

建設工事の請負金額が500万円未満の場合、法的には建設業許可は必須ではありません。しかし、お客様や元請け業者からの信頼を得て、競争力を高めるためには、建設業許可を取得しておくことが望ましいでしょう。

建設業許可を取得することで、業者としての信用と安全性が保証されるため、顧客に安心感を提供できます。また、業者間の信頼関係を構築し、取引先の拡大や新たなビジネスチャンスを生み出すことが期待できるでしょう。

内装仕上工事業の建設許可を取得するための要件

内装仕上工事業の建設業許可を取得するには、以下の5つの要件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者を有すること
  • 営業所ごとに専任技術者がいること
  • 請負契約に関して誠実性を有していること
  • 請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用を有すること
  • 欠格要件に該当しないこと

なお、専任技術者には次のような資格が必要です。

  • 内装仕上工事業の実務経験が10年以上
  • 指定学科(建築学、都市工学)卒業+内装仕上工事業の実務経験
  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(仕上)
  • 1級建築士
  • 2級建築士
  • 各種技能検定

2級技能検定合格者の場合、合格後3年以上の実務経験が必要です。平成16年以前の合格者であれば、合格後1年以上の実務経験で可能です。

また、建設業許可取得には、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険への加入も必要になります。

内装仕上工事業の建設許可取得の流れについて

内装仕上工事業の建設業許可を取得する流れは、以下のとおりです。

1. 取得する許可の種類を決める

  • 内装仕上工事業の建設業許可の種類を確認し、自社に適した許可を選択する

2.建設業許可取得の要件を確認する

  • 経営管理責任者・専任技術者・財産的基礎・欠格要件など、許可取得に必要な要件を確認する

3. 許可申請のための書類を作成・収集する

  • 身分証明書
  • 登記されていないことを証明する書類
  • 社会保険の領収書
  • 財産要件に関する書類
  • 専任技術者に該当する人材の健康保険証
  • 営業所の写真
  • 常勤役員などが5年以上経営を経験してると証明できる確認書類
  • 専任技術者の国家資格を証する書面もしくは実務経験を証明する確認書類
  • 財産的基礎を証明する財務諸表もしくは残高証明書

4.許可行政庁に申請をして審査を受ける

  • 管轄の許可行政庁に申請を行い、審査を受けるる

5. 建設業許可通知書を受けて申請完了

  • 許可が下りれば、建設業許可通知書を受け取り、申請が完了する

申請に必要な期間

内装仕上工事業における建設業許可申請の期間は、都道府県によって異なります。一般的には、30~45日程度です。

許可取得に期限がある場合、最低でも1ヶ月以上前には申請できるよう計画的に進めてください。

申請にかかる費用

内装仕上工事業の建設業許可の申請には、税抜で15~24万円程度の費用がかかります。内訳は、以下を参考にしてください。

  • 各種料金(知事・一般許可・内装仕上・国家資格証明):150,000円~(税抜)
  • 法定手数料(行政庁へ納付):90,000円
  • その他の実費(証明書取得費用等):数千円

建設業許可の取得とあわせて知りたい内装仕上工事業の将来性

内装仕上工事業を営むうえでは、建設業許可に関する知識に加え、業種としての将来性も把握しておくべきです。

結論、内装仕上工事業の将来性は非常に明るいと言えます。その理由は、以下のとおりです。

1.景気に左右されにくい

  • 内装仕上工事は、景気の変動に左右されにくいため、安定した需要が見込める

2.リフォーム需要の増加

  • 新築住宅だけでなく、中古住宅のリフォーム需要が増加している
  • 建物の経年劣化に伴い、クロスや床材の張り替えなどの内装工事が定期的に必要となる

3.少子高齢化に伴うバリアフリー需要

  • 少子高齢化が進むにつれて、バリアフリー対応のリフォーム件数も増えていく見込み

内装仕上工事業は、景気変動の影響を受けにくく、リフォームや高齢化に伴う需要の増加が見込まれるため、非常に明るい未来が期待できる業界と言えるでしょう。

まとめ

内装仕上工事業を生業としていくうえでは、建設業許可の取得が必要です。新築・修繕・リフォームなどあらゆる場面で求められる内装仕上工事は、建設業許可を取得することでより幅広い範囲での工事を請け負えるようになります。

建設業許可を取得するためには、本記事で紹介した要件や申請の流れ・期間・費用などの情報を参考にしましょう。

内装仕上工事業は、今後も需要が高まると見込まれている領域です。そのため、建設業という大枠から、内装仕上工事業に絞った経営を行うことも非現実的ではないと言えるでしょう。