一人親方は儲かる?年収の上げ方や節税対策について解説

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目次

雇用関係を持たずに建設関連の業務を営む「一人親方」。

法人に所属せず一人親方として働こうと検討する際、解消しておきたいのは「一人親方は儲かるのか」という疑問ではないでしょうか。

今回は、一人親方が儲かるのか、一人親方の概要とあわせて解説します。

また、

  • 一人親方の平均年収
  • 一人親方が儲かるための方法
  • 一人親方が儲かるために管理するもの
  • 一人親方が押さえるべき税金の知識

これらについても解説しているので、一人親方になることを視野に入れるうえでの参考情報としてお役立てください。

そもそも「一人親方」とは

一人親方とは、特に建設業界で見られる、自分自身や家族のみで事業を運営する事業主のことです。

元々は一定の技能を持ち、職人を率いる能力を有する人を指す言葉でした。

一人親方は、雇用主でありながら労働者の側面も持ち合わせており、独立性と不安定性を兼ね備えているのが特徴です。

一人親方になるためには、建設業界での実務経験を積み、必要な資格を取得し、開業届を提出する必要があります。

なお、社会保険への加入は義務ではありませんが、労務管理は自己責任で行わなければなりません。

一人親方には、自由な働き方が可能で、技術を磨く機会もあるというメリットがあります。しかし、収入の不安定さ、社会保険の不在、労務管理の難しさなどのデメリットも存在します。

また、国民健康保険や国民年金への加入も重要な手続きの一つです。このように、一人親方は自由な働き方を目指す人には魅力的な選択肢ですが、多くの課題も伴うことを認識しておきましょう。

一人親方は儲かるのか

結論、一人親方が儲かるかどうかは、請け負う仕事の量や単価によって左右されます。

一人親方になったからといってすぐ「稼げる」というわけではなく、収入の不安定さに頭を抱えるケースも少なくありません。

ただし、仕事量や単価の基準をしっかり設定し、それに伴う準備を怠らなければ、一人親方として法人に勤務するより儲けることは可能です。

一人親方でも儲かるための方法については、後述する「一人親方でも儲かるにはどうすべき?」の項目を参考にしてください。

なお一人親方は、昨今懸念されている建設業界の人手不足による直営化においても注目される人材です。

多くの建設業者が経営者不足や職人不足に頭を抱えている状況を「好機」捉え、積極的にアプローチすることで一人親方としての業務獲得につながるかもしれません。

【働き方別】一人親方の平均年収

厚生労働省の発表したデータによると、一人親方の平均年収は462万円でした。

一方、全建総連東京都連合会のデータでは、2021年段階の平均年収が510万円となっていたことから、一人親方の年収はまちまちであるとわかります。

また一人親方の平均年収は、取引を行う現場や働き方によっても変動することも覚えておきましょう。

施主から直接請

495万円

町場の大工・工務店

520万円

大手住宅企業

643万円

不動産建売会社

535万円

大手ゼネコン(建築)

649万円

地元(中小)ゼネコン

650万円

リフォーム・リニューアル会社

653万円

ゼネコン(土木)

745万円

商社・メーカー

886万円

プラント

667万円

その他元請け

565万円

複数の仕事先

563万円

情報引用:全建総連東京都連合会|2022年( R4年 )賃金調査報告書

一人親方でも儲かるにはどうすべき?

一人親方でも安定して稼ぐには、どういったことを意識すべきなのでしょうか。ここでは、一人親方が儲かるために実施すべき、以下4つについて解説します。

  • 技術を磨く
  • 関連資格を取得する
  • 人脈形成をしっかり行う
  • 保険に加入しておく

技術を磨く

一人親方で収入を増やすためには、技術の向上が不可欠です。高い技術力を持つことで、高単価の仕事を獲得でき、これが直接収入アップにつながります。

また、確かな技術で仕事をこなすことは顧客からの信頼獲得にもつながり、リピートや紹介による受注増に貢献します。

建設業界の激しい競争の中で、高い技術力は競争力を高め、安定した仕事の獲得にも重要です。

したがって、一人親方にとって技術磨きは事業成功の鍵と言えるでしょう。

関連資格を取得する

一人親方としてしっかり稼ぐのであれば、関連資格を取得するのもおすすめです。関連資格の取得は、上述した高単価案件の取得や顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。

一人親方が取得しておくべき関連資格は、以下を参考にしてください。

なおこれらはあくまで「関連資格」であり、一人親方になるためには建設業の許可が必要なことも覚えておきましょう。

建設業の許可を得るには、一定の経営経験や専任技術者として認められる経験・学歴・資格取得が必要です。

上述した施工管理技士などは建設業の許可を得るのにも有効な資格なので、一人親方として生計を立てるうえで取得は必須と言えるかもしれません。

人脈形成をしっかり行う

一人親方が収益を上げ、事業を発展させるためには、人脈形成の重要性は非常に高いでしょう。人脈を築くことで、新たな仕事の機会を獲得したり、業界内での高単価な案件を引き受けたりすることが可能になります。

また、人脈を通じて最新の業界情報や有利な情報を得ることができるため、ビジネス戦略を立てるうえで大きなアドバンテージとなるでしょう

さらに、信頼できるパートナーや協力者を見つけることも、人脈を通じて実現可能です。仕事の質を高めたり、新たな分野への挑戦を可能にしたりするなど、事業の拡大に直接貢献します。

既存の人脈から新しい顧客を紹介してもらえることもあり、これにより安定した収入源を確保できるでしょう。

人脈形成のためには、業界団体への加入やセミナー、研修への参加が有効です。SNSを活用することで、より広範なネットワークを築くことも可能になります。そして何より、積極的に人との交流を深めることが重要です。

これらの活動を通じて築かれる人脈は、一人親方が成功するための貴重な資源となります。

保険に加入しておく

一人親方は、不慮の事故や健康問題に直面した際に備え、保険への加入が重要です。具体的には、以下の保険が挙げられます。

  • 国民健康保険
  • 国民年金
  • 労災保険
  • 個人賠償責任保険
  • 医療保険
  • 生命保険

これらの保険に加入することで、万が一の事態に備えられ、かつ安心して仕事に専念できるようになります。

また、家族を守る面でも大きなメリットがあります。保険料の負担がデメリットとして考えられますが、万全の準備をすることで、将来への安心感を得ることができます。

一人親方が儲かるために管理するもの

一人親方が儲かるためには、仕事のスケジュールや顧客情報、見積もり内容や経費などをしっかり管理することが大切です。

収入・支出・利益などの金銭面の管理も怠ってはなりません。さらに、時間や自身の健康など、法人に勤務しているとき以上にさまざまなことを管理しなければならないのが、一人親方の特徴です。

また、確定申告や経営状況を把握するために「売上台帳」を用意しておくのもおすすめです。

一人親方が押さえておくべき税金の知識

一人親方として生計を立てるには、税金の知識を押さえておくことも大切です。ここでは、一人親方が対象になる税金や、一人親方におすすめの節税対策について解説します。

一人親方が対象になる税金

一人親方が対象になる税金は、以下のとおりです。

所得税

消費税

個人事業税

固定資産税

住民税

事業所得:事業で獲得した利益に課せられる税金

給与所得:給与を得た場合に課せられる税金

不動産所得:土地・建物を対象とした税金

・課税売上高が1,000万円以上の場合に対象となる

・課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者となる

・都道府県に納付する税金

・所得に応じて税額が決まる

・土地や建物といった固定資産を対象にした税金

・市町村に収める税金

・所得税、個人事業税の額に応じて決まる

一人親方におすすめの節税対策

上記の税金がかかることに加え、節税対策を押さえておくことも大切です。

主な節税対策として挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 適切な経費の計上
  • 給与所得者向上の利用
  • 小規模企業共済制度への加入
  • 退職金積立金の計上
  • 確定申告の活用

体的な節税対策としては、まず経費の適切な計上が挙げられます。事業に直接関連する費用、例えば事務所賃料・通信費・交通費・消耗品費などは、すべて経費として計上可能です。なお、これらの経費を正確に計上するためには、領収書や証憑書類の適切な管理が不可欠になります。

次に、給与所得控除の活用も重要です。給与所得控除は特に、年収が低い場合に有利となります。

また、小規模企業共済制度への加入も有効な手段です。毎年一定額を納付し、退職時に一括金が支給される制度のことで、その一括金は非課税となります。

さらに、退職金積立金の計上も節税対策として有効です。あらかじめ退職金として計上し、一括納付時に経費として損金算入することで、将来の退職金準備と節税の両方を目指せます。

最後に、確定申告の適切な活用も重要です。必要経費をすべて申告することで、所得を正確に計算し、青色申告制度を選択することで更なる控除を受けることが可能です。

節税対策は複雑に感じることもありますが、これらの対策を適切に行うことで、一人親方も大幅な節税を実現することができます。

まとめ

今回は、一人親方になることを視野に入れるうえで解消しておきたい「一人親方は儲かるのか」という疑問に関する内容をまとめました。

従事する現場や獲得する仕事量・単価によって、一人親方の稼ぎは変動します。

一人親方として儲けるには、技術の向上や人脈形成、各種管理項目についてしっかり把握することが大切です。

節税対策も頭に入れつつ、一人親方として儲かる道を模索しましょう。