建設業におけるグリーンサイトとは?一人親方におすすめな理由を解説

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目次

建設業において、労務・安全衛生に関する管理書類を指す「グリーンファイル」をクラウドで管理できる「グリーンサイト」の利用が推奨されています。

特に、多くの業務を自身で行わなければならない一人親方にとって、グリーンサイトについて理解を深めることは非常に重要です。

今回は、建設業のグリーンサイトについて、以下の視点から解説します。

  • グリーンサイトとは?
  • グリーンファイルとの違い
  • 一人親方がグリーンサイトを利用すべき理由
  • 一人親方がグリーンサイトを利用しないとどうなるのか
  • グリーンサイトへの登録方法
  • グリーンサイトの登録にかかる費用
  • 一人親方がグリーンサイトを利用するうえでの注意点

一人親方として建設業を営んでいる、もしくは今後一人親方として生計を立てていこうと考えている方はぜひ参考にしてください。

建設業のグリーンサイトとは?

グリーンサイトは、建設業務で必要となる書類の作成や管理を、クラウド上で一元的にサポートするシステムです。建設業特有の業務フローに合わせたさまざまな機能を備えており、書類作成から提出までの一連の作業を効率化できます。

建設業界は、法令や規制が多数存在する業界です。建設工事を適切に進めるためには、作業手順書、リスクアセスメント、安全点検表、労働時間管理、資格管理、教育記録管理など、さまざまな書類を作成・管理する必要があります。

これらの書類作りには、関連法令の理解と、正確な記載が求められます。記載ミスや法令の見落としがあれば、重大な事故や行政処分のリスクにつながりかねません。

多大な書類作業が伴い、効率的な業務運営が難しい面がある建設業務のネックを解消すべく登場したのが、グリーンサイトと呼ばれるクラウドサービスなのです。

グリーンファイルとの違い

グリーンファイルとは、建設現場で使用する、作業手順書やリスクアセスメント、安全点検表などをまとめた資料のことです。文字通り、緑色のファイルに綴じられていることが多いことから、このような呼び名がついています。

グリーンファイルに関する詳細は、当サイトに掲載している以下の記事も参考にしてください。

グリーンファイルとは? 作成義務やその種類について

一方、グリーンサイトはインターネット上のサービスであり、クラウド上で必要な書類を電子的に作成・管理できます。単なるファイルの集積ではなく、効率的な書類作成や一元管理を実現するシステムといえます。

グリーンサイトでは、建設業務で必要となるさまざまな種類の書類のテンプレートが用意されています。入力フォームに必要事項を記入するだけで、法令に沿った適切な形式の書類を作成可能です。また、作成した書類はクラウド上に保管できるため、いつでも参照や修正ができます。

その他にも、従業員の労働時間管理や、技術者などの資格管理、安全教育の受講記録管理など、建設業特有の業務に役立つ機能が多数備わっています。建設業の現場でよくあるニーズに対応した、使いやすいシステムとなっているのがグリーンサイトの特徴です。

一人親方がグリーンサイトを利用すべき理由

建設業における「一人親方」とは、個人事業主として建設業務を請け負う者のことです。一人親方は、受注から施工、書類作成に至るまで、建設業務のプロセスすべてを一人で行う必要があります。

そのため、一人親方には、請け負った工事規模に応じた膨大な量の書類作業が発生します。工事が大きくなるほど、作成が求められる書類の種類と量が増えていきます。発注者への提出物はもちろん、自身の記録としても、各種の書類を適切に作成・保管しなければなりません。

建設業務において、書類作業は避けて通れない業務です。ただし一人で請け負う業務が多ければ多いほど、その書類作業にかかる工数が増え、本業の施工作業への影響が避けられません。

このような課題に対して、グリーンサイトの利用は大きな助けとなるでしょう。一人親方がグリーンサイトを活用することで得られるメリットは、以下の3点です。

  • 書類作成の工数削減
  • 書類作成時のミス軽減
  • 資格情報の更新漏れ防止

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

書類作成の工数削減

一人親方が、グリーンサイトを利用しないで書類を作成する場合、ひとつひとつの書類を一から作らなければなりません。しかしグリーンサイトには、各種書類のテンプレートが用意されているため、必要事項を入力するだけで適切な形式の書類が作成できます。

従来の手書きや一から作成する方法に比べ、テンプレートを活用することで、書類作成の大幅な工数削減が可能です。

また、グリーンサイトのテンプレートは最新の法令に準拠しているため、書類の形式が常に適切であることが保証されます。書類不備による発注者からの指摘や是正勧告を避けられ、無駄な手戻りを防げる点が大きなメリットです。

書類作成時のミス軽減

建設業務で作成する書類には、関連法令に沿って必須の記載事項が定められています。しかし、一人親方がすべてを把握するのは容易ではありません。特に、一人で多くの工事を請け負っていると、記載ミスが起こりやすくなります。

グリーンサイトのテンプレートには、各書類で必要な記載項目や注意点が盛り込まれています。必要事項を漏れなく記入できる入力フォーム形式なので、記載ミスを軽減可能です。したがって、人的ミスによる書類の不備リスクが低減されるのです。

さらにグリーンサイトは、法令改正にも対応しています。法令が改正された場合は、すぐにテンプレートも更新されるため、新しい規制にも確実に対応できるでしょう。アナログな書類作成だと対応が後手に回ってしまいがちですが、最新の法令順守が担保されるのが大きなメリットといえます。

資格情報の更新漏れ防止

グリーンサイトでは、一人親方が保有するすべての資格情報を登録・管理できます。資格の種類、取得年月日、有効期限などの情報を入力しておけば、期限が近づくと自動的に更新の通知が届きます。

また、構造物解体主任技士や足場組立者など、定期的な更新講習が義務付けられている資格についても同様に、次回の講習時期をシステムが事前に通知してくれるのです。

グリーンサイトを用いて資格情報を一元管理することで、期限切れや講習受講の遅れを防ぎ、法令違反に陥るリスクを回避できます。

一人親方がグリーンサイトを利用しないとどうなる?

一人親方がグリーンサイトを利用しないで従来通りの業務を続けた場合、以下のようなリスクや問題が生じます。

  • 書類作成にかかる工数が膨大になり、本業の施工作業への影響が避けられない
  • 記載ミスや法令の見落としにより、書類の内容に不備が出る
  • 資格の有効期限を失効させたり、更新講習の受講を失念したりするなど、資格管理が不十分になる
  • 法令の改正に対応が遅れ、旧法令に基づく不適切な書類の提出を強いられる
  • 上記のリスクが顕在化すると、事故や行政処分を受ける恐れがある

つまり、書類作業の煩雑さから本業の生産性が低下し、さらにはコンプライアンス上の重大なリスクにもさらされかねない、という最悪の事態を招く可能性があるのです。

一人親方にとって、建設業務で発生するさまざまな書類作業は避けられないことです。しかし、書類作業に過度の工数を割かれてしまえば、本来の施工業務に専念できなくなってしまいます。施工の遅れや品質の低下につながりかねません。

また、法令を無視した書類の不備や資格管理の不備は、重大な事故の原因や、立入検査での指摘、さらには行政処分につながるリスクがあります。一人親方にとって、事業の存続そのものを左右する致命的なリスクとなりかねません。

こうしたリスクを回避するためにも、グリーンサイトのような建設業特化のクラウドサービスを上手に活用し、書類作業を効率化する必要があるでしょう。

一人親方向け|グリーンサイトへの登録について

グリーンサイトは多くのメリットがありますが、このサービスを利用するには一定の手続きと費用が必要となります。ここでは、一人親方向けの登録方法と必要書類、費用などについて説明します。

グリーンサイトの登録方法

一人親方がグリーンサイトに登録するための手順は以下の通りです。

  1. 公式ウェブサイトにアクセスし、新規登録ページを開く
  2. 氏名・会社名・連絡先などの基本情報を入力する
  3. 必要書類のアップロードまたは郵送を行う
  4. 登録審査が完了すれば、サービスの利用可能となる

登録の際は本人確認のため、身分証明書を提出しなければなりません。基本的にはオンラインですべての手続きが完結しますが、必要書類の一部を郵送する必要なこともあります。

登録受付後は審査が入り、通常1〜2週間程度で登録が完了します。審査を通過できなかった場合は理由が通知されるため、再度手続きをやり直す必要があります。

グリーンサイトの登録に必要な書類

グリーンサイトへの登録時に提出が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 建設業許可証の写し
  • 経営事項審査結果通知書の写し
  • 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)の写し

建設業許可証と経営事項審査結果通知書は、一人親方として建設業を適切に営んでいることを証明する重要な書類です。これらがなければ、グリーンサイトへの登録は認められません。

身分証明書は、本人確認のために必要となります。運転免許証やパスポートなど、顔写真が鮮明に写っている証明書を用意しましょう。

その他、グリーンサイト側から追加の書類の提出を求められる場合もあります。例えば、一人親方の実績工事の詳細や、従業員の技術資格者名簿の提出を求められることもあるでしょう。

登録時に不備があれば、書類の再提出や追加提出が求められるので、事前に必要書類を確実に揃えておく必要があります。

グリーンサイトの登録費用

グリーンサイトの利用には、初期費用と月額の利用料金の両方がかかります。

初期登録料として20,000円(税抜)が必要です。これは、審査手数料や初期設定費用に充てられます。

月額基本料金は、5,000円(税抜)です。この料金でテンプレートの利用や書類のクラウド保管、資格管理などの基本的な機能が利用できます。

さらに追加の有料オプションを利用する場合は、その分の費用が別途かかることも覚えておきましょう。例えば、従業員の労働時間管理機能を追加するとオプション料金が発生します。有料オプション次第で月額料金は増減するでしょう。

初期費用と基本の月額料金を合計すると、最初の1年間で概算80,000円前後の費用が見込まれます。一人親方にとっては決して安くはない金額ですが、投資効果が望めるシステムといえるでしょう。

規模の大きな工事を請け負う場合、グリーンサイトの費用対効果は十分に高くなると考えられています。費用に見合うメリットがあるかどうかは、請け負う工事の内容や規模を勘案して検討する必要があります。

一人親方がグリーンサイトを利用するうえでの注意点

ここでは、一人親方がグリーンサイトを利用するうえでの注意点を、4つ紹介します。

  • 機能について十分に理解を深めておく
  • 登録情報の変更があれば速やかに更新する
  • セキュリティを意識してIDやパスワードを管理する
  • 問い合わせ窓口を確認しておく

グリーンサイトは建設業務の効率化とコンプライアンス遵守に役立つサービスですが、ここで紹介する注意点もあることを覚えておきましょう。

機能について十分に理解を深めておく

グリーンサイトは多機能なシステムで、提供される機能は多岐にわたります。利用者ごとにカスタマイズもできるため、使い勝手は人それぞれに異なります。

そのため、自身の業務内容や用途に合わせて必要な機能を選び、その使い方をしっかりと理解することが重要です。サイト内の操作マニュアルや解説動画などを確認し、有効活用できる機能を見極める必要があります。

登録情報の変更があれば速やかに更新する

グリーンサイトへ登録した際の会社情報や資格情報などに変更があった場合は、速やかに更新手続きを行う必要があります。情報が古いままだと、書類の不備や期限切れの資格の使用につながりかねません。

情報の変更は、グリーンサイトの所定のページから手続きできますが、場合によっては改めて書類の提出を求められることもあります。変更点を見落とさず、確実に更新することが重要です。

セキュリティを意識してIDやパスワードを管理する

グリーンサイトでは、サイバー攻撃を防ぐためにも、強固なID・パスワードの設定と厳重な管理が求められます。

パスワードは定期的に変更し、他サイトで使い回しているものは使用しないよう注意しましょう。IDやパスワードが流出した場合、外部から不正にアクセスされる恐れがあります。

問い合わせ窓口を確認しておく

グリーンサイトの利用で分からないことや障害が発生した際の問い合わせ先を、あらかじめ確認しておきましょう。マニュアルで解決できない事態に備え、連絡先をメモしておくと安心です。

まとめ

建設業におけるグリーンサイトは、業務効率の向上とコンプライアンス遵守を両立するための強力なツールです。一人親方の方にとっては特に、書類作成の工数削減や人的ミス防止、資格管理の徹底など、大きなメリットがあります。

一方で、グリーンサイトを有効活用するには一定の費用がかかり、登録時の手続きや運用時の注意点もあります。しかし、これらの費用やハードルを乗り越えることで、本業の施工に専念でき、コンプライアンス上のリスクも低減できるでしょう。

建設業にはさまざまな法令・規制があり、一人親方では対応が難しい面もあります。そういった課題を解決する糸口として、グリーンサイトの利用を検討してみましょう。