施工管理・現場監督の違い｜仕事内容やスキル、将来性について
目次
建設業界で働く上で、「施工管理」と「現場監督」という職種を耳にすることが多いでしょう。両者は似たような職務を担っていますが、実際には微妙に役割や責任を持っている点に違いがあります。本記事では、施工管理と現場監督の違いについて、以下の要素も交えながら見ていきましょう。
- 施工管理・現場監督の仕事内容
- 施工管理・現場監督の平均年収
- 施工管理・現場監督に求められるスキル
- 施工管理・現場監督が取得すべき資格
- 施工管理・現場監督のやりがい
- 施工管理・現場監督の将来性について
建設業界で働く上で、施工管理・現場監督の役割を担いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
施工管理と現場監督の違いは？
施工管理者は、建設工事全体を統括する立場にあり、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理など、様々な側面から工事を管理します。つまり、施工管理者は建設プロジェクト全体の指揮監督を行う役割を担っています。
工事の進捗状況を常に把握し、課題が生じた際には適切な対応を指示する必要があるのです。
一方、現場監督は施工管理者の指示のもと、実際の作業現場で作業員を直接監督する役割を持っているのが特徴です。作業員への作業指示、安全管理、品質管理など、現場での実務を担当しています。現場で起こりうるあらゆる事態に対応できる知識と経験が求められます。
簡単に言えば、施工管理者が全体を統括し、現場監督が現場での実務を担当しているという違いがあるのです。施工管理者が立てた計画に基づいて、現場監督が作業員を指揮し、実際の工事を進めていくという役割分担になっています。
施工管理・現場監督の仕事内容
施工管理と現場監督の主な役割は、建設工事の現場を管理し、指揮・指導することです。彼らの目的は、工事の進行を統括し、安全で円滑な作業を確保することにあります。
具体的な業務内容としては、以下のようなものがあります。
- 施工計画の立案
- 原価や予算の管理
- 依頼主との打ち合わせ
- 着工前の測量
- 工程や品質の管理
- 安全対策の実施
- 職人の監督と指導
- 資材の注文と管理
- 全体スケジュールの管理表の作成
- 業者や材料の手配
- 進捗に応じた施工計画の調整
- 設計図から施工図の作成および協力業者への指示内容の作成
施工管理と現場監督の職務内容はほぼ同じですが、厳密には異なる点もあります。施工管理は現場管理と事務作業の両方を担当する一方、現場監督は主に現場での作業管理を担当し、デスクワークは少なめです。
さらに、現場監督は施工管理が作成した計画を基に、具体的な現場作業の監督や職人への指導を行います。
施工管理・現場監督の平均年収
施工管理や現場監督の平均年収は、おおむね400万円から600万円の範囲内に収まりますが、年齢や経験、企業の規模、業種などの要素によって異なります。
たとえば、2021年の賃金構造基本統計調査によれば、30代前半の建築技術者（現場監督を含む）の平均年収は、男性で約300万円でした。一方、同じ年代の女性の平均年収は約244万円で、男女間に50万円以上の差が見られます。
また、同じ性別でも年齢によって年収の傾向が異なります。例えば、40代前半の建築技術者では、男性の平均年収が約370万円であるのに対し、女性は約268万円となっていました。このデータから、年齢によっても収入に差が出ることがわかります。
なお、この調査結果では、男性の方が平均年齢や勤続年数が高いため、年収の差にはこうした要素が影響していると考えられます。
さらに、建築士や土木施工管理技士などの資格を持ち、現場の責任者として働く場合には、より高い年収を得られることが多いです。
施工管理・現場監督に求められるスキル
施工管理や現場監督に求められるスキルには、以下のようなものがあります。
<コミュニケーション能力>
作業の進捗や問題点を速やかに把握し、必要な修正を行うためには、作業員や職人との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
<リーダーシップ>
現場を効果的に管理し、作業をスムーズに進めるためには、作業員に適切な指示を出し、サポートできるリーダーシップが重要です。
<読解スキル>
資料や図面から必要な情報を正確に読み取り、それを他の人にわかりやすく伝える能力が必要です。
<安全管理の知識>
現場で発生し得る危険を事前に予測し、その対策を講じるための知識と能力が求められます。
さらに、施工管理や現場監督には以下のスキルも重要です。
- スケジュール管理能力：計画通りに工事を進めるためのスケジュールを管理する能力
- 問題解決能力：現場で発生する問題を迅速に解決する能力
- マルチタスク能力：同時に複数の業務をこなす能力
- 危機管理能力：緊急事態に迅速に対応する能力
- 先を見通す力：将来的な課題や問題を予測し、対策を講じる能力
- 明確な指示出し：作業員や職人に対して明確な指示を出す能力
- ストレス緩和：作業員や職人のストレスを軽減する能力
- 熱意と自信：仕事に対して熱意を持ち、自信を持って取り組む姿勢
- 図面と現場の見比べ：設計図と現場を正確に比較し、違いを把握する能力
これらのスキルを有しておくことで、施工管理や現場監督は現場を円滑に運営し、プロジェクトの成功に貢献することができます。
施工管理・現場監督が取得すべき資格
施工管理や現場監督として成功するためには、資格取得が有利です。特に、建設工事の種類に応じた国家資格である「施工管理技士」は、キャリアの向上や給与の増加に寄与します。
施工管理技士には、建築施工管理技士、土木施工管理技士、建設機械施工技士、管工事施工管理技士、電気工事施工管理技士などがあり、現場の作業内容に応じて適切な資格を取得する必要があります。
例えば、建築現場での監督には建築施工管理技士、大規模な工事現場や土木工事には土木施工管理技士が必要です。
施工管理技士の資格は、施工管理技術検定に合格することで得られます。また、2年以上の実務経験を持ち、指導的な立場での業務経験があれば、資格申請が可能です。
施工管理・現場監督のやりがい
施工管理や現場監督の仕事には、以下のようなやりがいがあります。
- 社会へ貢献している実感を得られる
- 自分の仕事が形になる
- 技術や知識をアップデートできる
- 裁量の大きい仕事ができる
- コミュニケーションスキルが向上する
- 人間的な成長につながる
ここでは、施工管理・現場監督を目指す理由とも言えるやりがいについて解説します。
社会へ貢献している実感を得られる
担当した建築物やインフラが人々の日常生活を支える様子を実感でき、地域や人々に貢献しているという達成感や満足感が得られます。
自分の仕事が形になる
施工の各工程を一貫して管理し、長い期間にわたる努力が具体的な形として表れるため、大きなやりがいを感じられます。
技術や知識をアップデートできる
建築業界は日々進化しているため、常に最新の情報や技術に触れることができ、これにやりがいを感じる人も多いです。
裁量の大きい仕事ができる
建設現場の指揮官として、自分の判断で工事を進めることができ、知識や技術を最大限に活かせる環境が整っています。
コミュニケーションスキルが向上する
社内の他部署や顧客と接する機会が多く、コミュニケーションスキルが自然と身につきます。
人間的な成長につながる
提案を元請に行い、職人と協力してそれを実現することで、リーダーシップや段取り力など、人間的な感性も成長することができます。
施工管理・現場監督の将来性について
施工管理や現場監督の職務には、将来性やキャリアアップのチャンスが豊富にあります。
建設業界は常に発展しており、新築や改修工事、公共施設や民間施設の建設が進む中で、施工管理の需要は増え続けています。
特に、施工管理技士の資格を持っていると、転職先で早期に重要なポジションに就ける可能性が高く、実務経験を積むことでキャリアアップにつながるでしょう。実績に応じて昇給や昇進がしやすく、優れた成果を上げれば若いうちから現場の責任者に任命される可能性も0ではありません。
さらに、施工管理の経験を積んだ現場監督は、大手ゼネコンに転職し、現場管理や新人の育成など多様な業務を経験することも可能です。大手ゼネコンでは、工事全体を統括するために下請け企業の能力を評価し、適材適所に人材を配置するスキルを磨くことができます。
また、最新の資材や工法を扱う機会も多いため、常に新しい知識と技術に触れることができるというメリットもあります。
施工管理・現場監督は、経験と知識を積み重ねることで自身のキャリアの価値を高め、将来的にはより大規模なプロジェクトの管理や、より高度な専門知識を活かした仕事に挑戦することもできます。
まとめ
本記事では、施工管理者と現場監督の違い、仕事内容、求められるスキル、取得すべき資格、やりがい、そして将来性について詳しく解説してきました。
施工管理者は建設工事全体を統括する立場にあり、現場監督は実際の作業現場での実務を担当しているという違いがあります。
仕事内容や必要なスキル、取得すべき資格なども異なりますが、共通するのは建設工事の円滑な進行と完成を目指す点です。
やりがいは大きく、自らの手で社会に残る建造物を生み出すプロセスそのものに魅力があります。将来性も十分で、着実にキャリアアップを図れる環境が整っています。
施工管理者や現場監督は、建設業界の現場で欠かすことのできない存在です。この仕事に関心のある人は、ぜひ本記事を参考に、施工管理者・現場監督に関する理解をより深く深めてみてください。