電気工事の施工管理とは?関連資格「電気工事施工管理技士」の内容や将来性について

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建設工事においては、施工管理が品質と安全性を確保するうえで重要な役割を担っています。中でも電気工事は、高電圧での作業が伴うため、適切な施工管理が必須です。本記事では、電気工事の施工管理について、以下のトピックごとにまとめています。

  • 電気工事における施工管理の主な仕事内容や1日の流れ
  • 電気工事の施工管理が求められる場所
  • 電気工事の施工管理における将来性

また、施工管理にも関連する国家資格「電気工事施工管理技士」についても詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

電気工事における施工管理について

ここでは、電気工事における施工管理について、以下の視点から解説します。

  • 主な仕事内容
  • 1日の流れ

電気工事に関連する事業を行ううえで、ぜひ参考にしてください。

主な仕事内容

電気工事の施工管理者は、工事全体を統括する立場にあります。主な仕事内容は以下のとおりです。

<工程管理>

作業の進捗状況を日々管理し、遅延がないよう調整を行います。資材の手配遅れなどで遅延が生じる可能性がある場合は、関係者と協議し対策を講じます。

<品質管理>

電気設備が設計図書や関連法規、技術基準に基づいて適切に施工されているかを確認します。不備があった場合は是正指示を出します。

<安全管理>
作業員の安全を確保するため、保護具の着用の徹底や危険箇所への立ち入り制限など、各種安全対策を実施します。事故が発生した場合は原因究明と再発防止策を講じます。

<資材管理>

工事に必要な資材が適切に調達・使用されているかを管理します。余剰資材は適宜返品手続きを行います。

<環境対策>
工事によって発生する騒音や振動、粉塵などの影響を最小限に抑えるための対策を実施します。

<関係者との調整>

発注者・設計事務所・作業員などの関係者と円滑なコミュニケーションを図り、工事が滞りなく進むよう調整します。

1日の流れ

施工管理者の1日の典型的な流れは、以下のとおりです。

<朝礼>
当日の作業内容や注意点を作業員に伝達します。安全作業の再確認や資材の確認なども行います。

<現場巡回>
工事の進捗状況を確認するため、現場を巡回します。作業の安全性や品質に問題がないかをチェックします。

<デスクワーク>
書類作成や資材の手配、関係者とのやり取りなど、事務作業がメインです。

<作業員指導>
適切な施工方法が守られていないなどの問題点があれば、作業員に対し指導や注意を行います。

<打ち合わせ>
施工管理に関わる発注者や設計事務所、協力業者などとの打ち合わせを行います。

<夕礼>
当日の作業内容をまとめ、翌日の作業計画を立案する時間です。安全作業の確認や資材の確保状況の共有も行うこともあります。

電気工事の施工管理が求められる場所は?

電気工事の施工管理を必要とするのは、どのような会社や業者なのでしょうか。ここでは、電気工事の施工管理が求められる場所として挙げられる、以下4つについて解説します。

  • 電力会社
  • 内装業者
  • 住宅機器メーカー
  • 工場・研究所・プラントなどの取り扱い企業

該当の場所に所属している、もしくは所属を検討している方など、参考情報としてお役立てください。

電力会社

電力会社では、送電線や変電所などの電力設備の新設工事や保守点検工事で施工管理が求められます。高電圧の設備を扱うため、細心の注意を払った施工管理が不可欠です。

内装業者

ビルやマンションなどの建築物の電気設備工事を請け負う内装業者では、施工管理者の存在が欠かせません。設備の品質と安全性を確保するため、経験豊富な施工管理者が現場を統括します。

住宅機器メーカー

家電製品の製造工場では、生産ラインの設備工事を行う際に、施工管理の役割が重要になります。機器の故障は製品の信頼性を大きく損なうため、作業の品質と安全性の確保に万全を期す必要があります。

工場・研究所・プラントなどの取り扱い企業

製造業や研究開発を行う企業の多くは、工場や研究施設などに電気設備を備えています。これらの設備の新設や改修を行う際は、施工管理を欠かすことができません。高度な専門知識を持った施工管理者が現場を統括することで、安全で適正な施工が可能になります。

電気工事施工管理技士とは?

「電気工事施工管理技士」とは、電気工事の施工管理に関する専門的な知識と技能を有する者に与えられる国家資格です。経済産業省所管の下、一般社団法人電気施工管理技術検定協会が資格試験を実施しています。

ここからは、電気工事施工管理技士に関する以下の内容についてまとめています。

  • 電気工事施工管理技士を取得するメリット
  • 電気工事施工管理技士の1級・2級の違い
  • 電気工事施工管理技士の資格取得における難易度
  • 電気工事施工管理技士の資格取得までの流れ

電気工事関連の施工管理に、有資格者として従事したい方はぜひ参考にしてください。

電気工事施工管理技士を取得するメリット

電気工事施工管理技士の資格を取得することで、電気工事の施工管理に関する高度な専門知識と実務能力が身につきます。

高度な専門知識・実務能力があると判断されることは、個人はもちろん事業所全体の社会的な信用・評価にもつながるでしょう。

また、電気工事に関連する就職や昇進の際に有利になる資格であり、個人としてのキャリアアップのチャンスが広がるのも、電気工事施工管理技士を取得するメリットです。

電気工事施工管理技士の1級・2級の違い

電気工事施工管理技士には、1級と2級の区分があります。両者の主な違いは以下のとおりです。

<1級電気工事施工管理技士>

  • 大規模な電気工事の主任技術者となれる
  • 1億円以上の工事にも従事できる
  • より高度な専門知識と経験が必要

<2級電気工事施工管理技士>

  • 小規模な電気工事の主任技術者になれる
  • 1億円未満の工事にのみ従事できる
  • 1級よりも専門知識や経験の要求水準が低い

電気工事施工管理技士を取得する際は、1級と2級の違いをしっかり把握しておきましょう。

電気工事施工管理技士の資格取得における難易度

電気工事の施工管理には、電気工学や法規、安全管理など、専門的な知識が求められます。そのため、資格試験の合格にはある程度の難易度があります。

ただし、専門学校などで計画的に学習し、しっかりと対策を立てておけば、合格は十分可能です。特に、以下の点に気をつけると良いでしょう。

  • 電気理論や法規、安全管理などの専門知識を習得する
  • 過去問題の分析と重点事項を把握する
  • 学科試験と実地試験、双方の対策をとる

資格スクールや通信教育、eラーニングなどを活用し、効率的な学習を心がけながら電気工事施工管理技士の試験合格を目指しましょう。

電気工事施工管理技士の資格取得までの流れ

電気工事施工管理技士を取得するまでの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 学科試験の受験資格を満たす(1級は高卒以上で電気工事に5年以上従事、2級は3年以上従事などが条件)
  2. 専門学校や資格スクールなどで学習し、知識と技能を身につける
  3. 学科試験(筆記試験)に合格する
  4. 実務経験を積む(1級は5年以上、2級は3年以上の実務経験が必要)
  5. 実地試験(作文・口頭試験)に合格する

一気に全てを学習するのは難しいため、ステップを踏んで着実に資格取得を目指すことが重要です。

電気工事の施工管理に将来性はある?

結論、電気工事の施工管理は、将来性が期待できる仕事と言えるでしょう。

近年、発電所や送電設備、電気自動車関連産業など、電気設備を多く扱う分野での需要が高まっています。また、老朽化した設備の更新ニーズも根強く存在します。このように、電気工事そのものの需要が増加する中で、適切な施工管理を行えるスペシャリストの存在は重要になっているのです。

加えて、近年の労働安全や品質管理に対する社会的な意識の高まりから、施工管理の重要性が一層増しています。高度な専門知識と経験を備えた施工管理者に対するニーズは今後も高まり続けると予想されます。

こうした状況を踏まえると、電気工事の施工管理は将来性があり、有望な職種の一つと言えるでしょう。資格取得によりスキルを身につけておくことで、キャリアアップのチャンスが大いに広がります。

まとめ

電気工事の施工管理は、工事の品質と安全性を確保する上で極めて重要な役割を担う仕事です。国家資格である「電気工事施工管理技士」を取得することで、より高度な専門知識と技能を身につけたうえで従事することができます。

電気工事施工管理技士の取得は難易度が高めですが、しっかりとした学習と対策を立てれば、十分に合格は可能です。

昨今は電気設備の需要が高まっており、施工管理のスペシャリストに対する期待は年々高まっています。そのため、電気工事施工管理技士を取得のうえ、電気工事の施工管理に携わることで建築業者としての安定した将来設計が可能になるかもしれません。