建設業の営業職はどんな仕事?適性や求められるスキル、将来性について
目次
「建設業」と聞くと現場で作業をする仕事を思い浮かべることが多いでしょう。しかし建設業においても、他の職種と変わらず「営業職」が存在するのです。
今回は、建設業の営業職に関する以下のトピックをまとめています。
- 建設業の営業職が行う仕事
- 建設業の営業職に求められること
- 建設業の営業職に向いている人材の特徴
- 建設業の営業担当が取得すべきスキル・資格
- 建設業における営業職の将来性
現場作業ではなく、営業職として建設業に関わりたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考情報としてお役立てください。
建設業の営業職が行う仕事
建設業の営業職の主な役割は、自社の建設工事をアピールして受注を獲得し、会社の売上を伸ばすことです。具体的には以下のような業務を行います。
1.建物や設備の提案
- 顧客に対して、自社の建設工事や設備の魅力を提案する
2.メーカーや専門工事会社との連絡調整
- 工事に必要な資材やサービスの調達を円滑に行うため、関係業者との連絡調整を行う
3.スケジュール管理
- 工事の進捗状況を把握し、納期に間に合うよう工期を調整する
4.完成後の設備メンテナンスの提案
- 顧客に対して、完成後の設備メンテナンスサービスを提案する
建設工事の受注には、情報収集や顧客へのアプローチ、交渉・契約・代金回収・アフターフォローなどの流れがあり、各部署と協力しながら進めていくのが一般的です。
建設業の営業職は、受注と売上拡大の重要な担い手として、建設会社の成長に大きな役割を果たしています。
一般的な営業との違い
建設業の営業職の主な役割は、自社の建設工事をアピールして受注を獲得し、会社の売上を伸ばすことです。一方、一般的な営業職は、自社の商品やサービスを顧客に販売することが主な仕事です。
また建設業の営業職は、民間への営業と公共事業の入札の2つの主要な業務があることも、一般的な営業職との違いと言えるでしょう。
民間への営業の場合は新規顧客を開拓し、資産家などの顧客を相手に営業活動を行う機会が多くなります。
対して公共事業の入札は、入札に関する情報を常に収集し、申請書類を素早く正確に作成することが求められる営業です。
建設業における営業職のやりがい・魅力
建設業における営業職には、さまざまな面白みや魅力的な側面が存在します。例えば、大規模な金額を扱う業務に携われること、実績を具体的な形で示せることなどが挙げられます。
また、成約件数や金額が増加すれば、収入も大幅に増やすことができる可能性があるでしょう。
優れた業務を遂行すれば、顧客から信頼を勝ち得られ、紹介による新規顧客の獲得にもつながることも。さらに、未経験者でも努力次第で卓越した実績を残すチャンスがあるのも魅力的です。
社内外の人脈を広げられたり、幅広い知見を得られることも営業職の魅力として挙げられます。取引先に対する窓口的存在であるがゆえに、相手からの信頼感を直接感じ取れるのも魅力の一つです。
さらに、公共事業の入札に関連する業務を自社で請け負えるようになった時には、大きな達成感を味わえます。特に公共工事は大がかりなものが多く、自らが獲得し、建設された道路や施設が後世に残されることにも魅力を感じることができます。
建設業の営業は「きつい」?
建設業における営業職は、売上目標の達成や長時間労働、プライベートの時間が少ないことなどから、非常に過酷な職種とみなされています。さらに、週末にも営業活動を行わなければならない場合もあると指摘されています。
営業職では、顧客の要望に沿ったサービス提供が求められるため、残業が多い会社も少なくありません。また、訪問営業は精神的に大きな負担がかかり、慣れるまでは相当な困難が伴うと考えられます。
建設業の営業職に求められること
建設業の営業職は、単なる案件獲得にとどまらず、クライアントとの長期的な信頼関係を築き、案件を成功に導くことが求められます。なぜなら、建設プロジェクトは多額の投資と緻密な計画を伴う長期戦であり、互いの信頼がなければ円滑な進捗は望めないためです。
そこで、建設業営業職がクライアントの信頼を獲得し、案件を成功に導くための秘訣を3つ紹介します。
1. 誠実かつ迅速なコミュニケーションで信頼を築く
- 常に丁寧かつ迅速な対応を心掛け、クライアントからの問い合わせには迅速かつ正確に回答する
- 定期的な進捗報告を行い、クライアントの不安や懸念事項を解消する
- トラブルが発生した場合は、迅速かつ誠実に対応し、損害を最小限に抑える
2. 積極的に関係性を深め、パートナーとなる
- 単なる取引関係を超え、クライアントの事業内容や課題を深く理解し、真のパートナーとして寄り添う
- 必要に応じて休日出勤や接待などを行い、クライアントとの関係性を維持・強化する
- 業界イベントへの積極的な参加や、人脈を活用した情報提供などを通じて、クライアントのビジネスに貢献する
3. 専門知識とマーケティング力で提案の説得力アップ
- 建築に関する専門知識を磨き、クライアントのニーズに合致した最適な提案を行う
- 市場調査や競合分析を行い、収益性の高いプロジェクトを提案する
- 資料作成やプレゼンテーション能力を磨き、クライアントを説得できる提案を行う
建設業営業職は、クライアントとの信頼関係構築と専門知識・マーケティング能力の両方が求められる奥深い仕事です。
これらの要素を磨き上げ、クライアントを魅了する提案を行うことで、案件獲得だけでなく、長期的なビジネスパートナーとしての関係を築き、建設業界における成功を収めることができるでしょう。
建設業の営業職に向いている人材の特徴
建設業の営業職には、以下の能力が不可欠とされています。
- 顧客の立場に立ち、丁寧なコミュニケーションを心がけ、ニーズを正しく把握できる
- 顧客の表情や要望を汲み取り、的確な提案ができる
- 定期的な報告や連絡を欠かさず、安心感と信頼関係を醸成できる
- 建築に関する専門知識を備え、顧客にとって最適なプランを提示できる
- 市場調査や競合分析に基づき、収益性の高いプロジェクトを企画できる
- 資料作成やプレゼン力を磨き、説得力のある提案ができる
- 誠実さをもち、顧客との約束を必ず守り信頼を築く姿勢
- 過酷な目標やクレームにも屈せず、プレッシャーに耐え抜く強靭な精神力
- 建設業界は社会情勢の影響を受けやすいため、常に最新情報を収集し、変化に対応できる柔軟性
コミュニケーション力や専門知識、提案力・誠実さ・責任感・プレッシャー耐性・幅広い知識・情報収集力など、建設業の営業職には様々な適性が求められます。
こうした資質を備え、絶え間ない努力を重ねられる人材が、建設業の営業職で成功を収めることができる人材と言えるでしょう。
建設業の営業担当が取得すべき資格
建設業に携わる営業担当者は、関連する国家資格を取得しておくことで、キャリアアップや専門性の向上、そして何よりも顧客からの信頼獲得がよりスムーズになります。
主要な資格として挙げられるのは、不動産取引に関する「宅地建物取引士」、建築設計監理ができる「一級建築士」、工事施工管理ができる「施工管理技士」などです。
また、住宅ローン等の提案で役立つ「ファイナンシャル・プランニング技能士」、インテリアプランニングに強み持つ「インテリアコーディネーター」、保険商品提案に有利な「損害保険代理士」なども重要視されています。
これらの資格を取得することで、営業担当者は顧客に対してより高度な提案やアドバイスを行え、専門性とサービス力を高めることができます。
さらに、顧客からの信頼を確実に獲得し、良好な関係を築くことにもつながるでしょう。建設業の営業職において、関連資格の取得は大きな強みとなり得るのです。
建設業における営業職の将来性
建設業における営業職は、将来的に明るい展望があると考えられています。その理由は、次のとおりです。
- 社会基盤の老朽化に伴う維持・更新事業の増加
- 住宅リフォーム市場の拡大
- 環境対策・省エネ分野での新たなビジネス展開
- グローバル市場での活躍の場の広がり
ただし、建設業界は経済動向の影響を受けやすい面があり、不況期には仕事量が減少するリスクがあります。
また、高度な営業力と建設に関する専門知識が求められる業種でもあるため、それらのスキルを身に付ける必要があるでしょう。
しかし全体として、様々な分野で需要の高まりが見込まれるため、前途有望な職種だと言えるでしょう。
社会基盤の老朽化に伴う維持・更新事業の増加
道路・橋梁・上下水道施設などの公共インフラは経年劣化が進行しており、今後は大規模な維持更新工事の需要が見込まれます。営業職はこうした公共事業の受注に携わるため、需要の拡大に伴い業務が増えることが期待できます。
住宅リフォーム市場の拡大
人口減少に伴い新築住宅需要は減少傾向にありますが、一方で既存住宅のリフォーム需要は高まっています。営業職はリフォーム工事の受注業務にも関与するため、この分野での需要増加が見込まれるでしょう。
環境対策・省エネ分野での新たなビジネス展開
地球温暖化対策の必要性から、省エネルギー住宅や環境配慮型建築物への需要が高まっています。営業職には最新の環境技術を提案する役割があり、この分野で新たなビジネスチャンスが生まれると期待されているのです。
グローバル市場での活躍の場の広がり
一部の大手建設企業ではグローバル展開を積極化しており、営業職も海外市場で働く機会があります。新興国を含め世界的に建設需要は根強いため、将来的にはグローバルな活躍の場が広がる可能性があるでしょう。
まとめ
建設事業におけるクライアント獲得や既存クライアントとの関係維持など、様々な役割を担うのが建設業の営業職です。優れたコミュニケーション力やマーケティング力を有し、建設にまつわる豊富な知識を得るモチベーションのある人材が適しています。
建設業で営業職として活躍するには、適性や関連資格の内容を理解し、適宜自己分析のうえ営業担当としてのブラッシュアップを繰り返すことが大切です。将来性も期待できる建設業の営業職、この機会に目指してみてはいかがでしょうか。