建設業の事務はきつい?主な理由や対策、2024年問題との関連について

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目次

建設業の事務職を目指す際「幅広い業務内容に対応しなければならず、大変ではないか」と不安を抱く方もいるかもしれません。
本記事では、建設業界の事務職が「きつい」と言われる背景を、掘り下げて解説します。
また、以下の関連トピックも網羅しています。

  • 建設業の事務が行う仕事内容
  • 建設業の事務と2024年問題の関係性
  • 建設業の事務職が「きつい」状態を脱する方法
  • 建設業の事務職のメリット
  • 建設事務を目指すうえで覚えておくべきこと

建設業の事務職として働くことを視野に入れている方はもちろん、現在事務職で建築業界に在籍している方も、ぜひ参考にしてください。

建設業の事務が行う仕事内容

建設業の事務職は一般的な事務業務だけでなく、業界特有の役割もこなします。主な業務は、以下のとおりです。

  • 総務
  • 経理
  • 営業事務
  • 現場事務

建設業事務は、業務ごとに専門性や特性が異なるため、多岐にわたるスキルが必要とされる職種です。

総務

総務では、備品の管理や書類の作成や来客対応、施設管理や電話対応など、社内運営を円滑に進めるためのサポートを行います。

経理

資金や取引の管理、伝票整理、給与計算、社会保険料関連業務など、財務全般を担当します。
特に建設業界では扱う金額が大きく、責任感が求められる仕事です。

営業事務

営業事務は営業スタッフのサポート役として、書類作成やデータ入力、スケジュール調整を行います。
また、見積書や請求書の作成などを通じ、営業活動の後方支援を担います。

現場事務

現場事務は、建設現場に設置されたプレハブ事務所で、納品書や伝票の整理、会計処理や電話対応、資料作成などを担当します。
また、CADを使った図面補助や現場写真の整理など、現場ならではの業務も含まれます。

建設業の事務が「きつい」とされる理由

建設業の事務が「きつい」とされる主な理由は、以下のとおりです。

  • 取り扱う金額が大きいためプレッシャーがある
  • 業務量が多い
  • 達成感を味わいにくい
  • アナログな文化が定着している
  • 周囲に男性が多い
  • 作業員からの扱いが悪い
  • 技術職と比較して収入が少ない

ここでは、建設業の事務職におけるきつさの詳細に触れているので、実際のキャリアプラン構築に役立ててください。

取り扱う金額が大きいためプレッシャーがある

建設業界では、他業界と比べて取り扱う金額が非常に大きいことが特徴です。
数千万から数億円規模の金額を管理する事務業務は、常にミスが許されない環境です。
発注や請求書に間違いがあれば、会社に重大な損害を与える可能性があるため、事務職には高い正確性と集中力が求められます。

業務量が多い

特に中小企業の建設業事務では、業務量が多い傾向にあります。
少人数で運営している場合、総務・経理・営業事務・現場事務と幅広い役割をこなす必要があり、臨機応変な対応力とマルチタスク能力が欠かせません。
そのため、日々の仕事量に圧倒されることも少なくありません。

達成感を味わいにくい

建設業界の魅力といえば、建物やインフラの完成に立ち会える「ものづくり」です。
しかし、事務職は現場を支える裏方です。
そのため、プロジェクトが終わった際に直接的な達成感を得にくいこともあり、成果を感じないと悩む人もいるでしょう。

アナログな文化が定着している

建設業界では、いまだにFAXや紙ベースの書類が主流の職場も存在します。
デジタル化が進んでいる業界に慣れている人にとっては、アナログ文化に戸惑いを覚えることもあるでしょう。
効率的な業務を求める人には、不満を感じやすい環境と言えます。

周囲に男性が多い

建設業界は男性が多い業界であり、女性にとっては働きにくさを感じる場面もあるかもしれません。
現場作業員とのやり取りの際、口調が厳しいと感じたり、コミュニケーションで苦労することもあるようです。

作業員からの扱いが悪い

事務職は、現場作業員から軽視されることがあるとも言われています。
作業員には「現場の厳しい環境を支えている」という自負があるため、専門資格や知識を必要としない事務職を、下に見ることがあるようです。

技術職と比較して収入が少ない

建設業界では、事務職の収入は技術職と比べて低い傾向にあります。
設計や工事を担当する技術職は専門知識や資格が必要とされますが、事務職は未経験からでも始められる場合が多いため、収入差が生じているのです。

建設業の事務と2024年問題の関係性

建設業界における2024年問題は、時間外労働の上限規制と割増賃金の引き上げを軸とした働き方改革です。
2024年問題による変化は、事務職にも少なからず影響を及ぼします。

従来の建設業界は長時間労働が当たり前とされており、事務職も多忙な勤務環境に置かれていることが多くありました。
しかし、2024年問題により時間外労働の上限が設定されることで、事務職の労働時間が短縮される可能性があります。

さらに、割増賃金の引き上げは、事務職の収入増加にも寄与すると期待されています。
特に、長時間労働を強いられてきた事務職にとっては、給与面での改善が見込まれるため、働き方が見直されるきっかけとなるでしょう。

建設業の事務職が「きつい」状態を脱する方法

建設業の事務職が「きつい」状態を脱するには、以下の方法を実践することが大切です。

  • 業務効率化
  • 外部リソースの活用
  • 自己分析・キャリアプランの明確化
  • 心身のケア

実際の就業環境を変えるうえでは、事務職である自身から運営側に進言することが重要視されるでしょう。

なお、建設業の事務職にかかる負担軽減については、以下の記事でも詳しく解説しています。

建設業事務に必要なスキルは?事務の負担を軽減するポイントも紹介

業務効率化

建設業界ではIT化の遅れが指摘されており、依然としてFAXや紙ベースでの業務が中心の職場も多く見られます。
アナログな業務フローは非効率で、時間の無駄を生むだけでなく、長時間労働を招く要因にもなるでしょう。

例えばOCR機能を備えたスキャンシステムを導入すれば、紙の書類をデジタル化でき、手作業での入力や転記ミスを大幅に削減可能です。
また、建設業向け勤怠管理システムを利用すれば、現場作業員の出退勤管理が簡素化され、事務処理の負担も軽減できます。

なお、業務効率化については、クラフトバンクオフィスの導入を運営側に進言してみてはいかがでしょうか。建設業務におけるあらゆる視点での効率化が可能なクラフトバンクオフィスであれば、自社の事務作業にかかる負担を軽減できるでしょう。

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外部リソースの活用

建設業の事務職は多岐にわたる業務を少人数で担うことが一般的で、業務量が膨大になりがちです。
業務量に関する問題の解消には、外部リソースの活用が有効な選択肢となります。

専門性が必要な業務を外部の専門家に委託すれば、事務職の負担を軽減可能です。
また、人手不足を補うために、派遣社員やパートタイマーの採用を検討することも有効です。

外部リソースを取り入れることで日常的な業務負荷を軽減し、より重要なコア業務に集中できる環境を構築できるでしょう。

自己分析・キャリアプランの明確化

建設業の事務職では、専門スキルが身につきにくいと感じたり、キャリアアップの方向性が見えにくいと悩んだりすることもあるでしょう。
しかし「建設事務しか経験がない」と考えてしまうのは早計です。

建設事務の仕事で培った事務処理能力やコミュニケーション力は、他業界でも役立つ場面が数多くあります。
例えば一般事務や営業事務への転職、あるいは接客職や販売職へのキャリアチェンジも、十分視野に入れることが可能です。

心身のケア

建設業の事務職は、大きな金額を扱うことによるプレッシャーや多忙な業務からくるストレスに晒されやすい職場環境です。
そのため、心身のケアを怠らないことが大切です。

まず、定期的にストレスチェックを行い、自分の心の状態を把握しましょう。
また、ストレスを感じた際には、自分に合った解消法を見つけることが効果的です。

十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動といった基本的な生活習慣を維持することも重要です。

「きつい」だけではない?建設業の事務職のメリット

建設業の事務職には、以下のメリットもあります。

  • 幅広い事務スキルを身につけられる
  • スケジュール管理がしやすい
  • マルチタスクをこなせるようになる
  • 体を動かすことは少ない
  • 残業・休日出勤がほぼない

ここで紹介するメリットを、きついとされる理由と秤にかけたうえで今後の進退やキャリアについて考えましょう。

幅広い事務スキルを身につけられる

建設業の事務職では、総務や経理、営業事務、現場事務など、多岐にわたる業務を経験できます。
特に中小企業では、少人数で多くの業務を分担するため、自然と幅広いスキルを習得する機会が多くなるでしょう。

一般的な事務能力に加え、建設業ならではの専門知識やCADスキルを身につけられる場合もあります。
さらに、経理業務を任されることもあるため、経理スキルの向上にもつながります。

スケジュール管理がしやすい

建設業の事務職は、施工スケジュールに合わせて自分の業務スケジュールを調整できる点が魅力です。
あらかじめ全体の計画が分かるため、業務予定を立てやすく、効率的に作業を進められます。
結果、ワークライフバランスが取りやすく、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。

マルチタスクをこなせるようになる

建設業界の事務職は、複数の業務を同時に進行する場面が多く、マルチタスク能力を養う絶好の機会です。
現場の状況に応じて柔軟に対応しながら、優先順位を考慮して業務を進めるスキルが自然に磨かれていくでしょう。
マルチタスクをこなすスキルは、他の職種にも活かせる能力です。

体を動かすことは少ない

建設業と聞くと、肉体労働のイメージが強いかもしれません。
しかし、事務職は基本的にデスクワークが中心です。
冷暖房の整ったオフィスで働けるため、体力的な負担が少なく、快適な環境で仕事ができます。

残業・休日出勤がほぼない

建設業の事務職は基本的にカレンダー通りの休日が確保され、残業や休日出勤は少ない傾向にあります。
プライベートな時間を大切にしたい方や、ワークライフバランスを重視する方にとって、非常に適した職種と言えるでしょう。

今後建設事務を目指すうえで覚えておくべきこと

最後に、建設事務の仕事をするうえで覚えておくべきことをまとめています。

  • 建設業の事務職に必要なスキル
  • 建設事務の適性
  • 建設事務の業務に活用できる資格
  • 職種としての将来性

自身と照らし合わせながら、建設事務職としてのキャリア形成に役立ててください。

建設業の事務職に必要なスキル

建設業の事務職で働くには、まず高いコミュニケーション能力が欠かせません。
現場作業員や設計担当者、クライアントとのスムーズな意思疎通が、業務を効率的に進めるうえで重要なためです。

また、基本的なパソコンスキルも必須で、WordやExcelといったソフトを使いこなすことが求められます。

建設事務の適性

細かい事務作業を正確にこなせることは、建設事務で重要な適性のひとつです。

公共事業を扱う機会も多い建設業界では、事務処理のミスが大きな問題を引き起こすことがあります。
そのため、注意深く業務に取り組む姿勢が必要です。

また、建設業界特有の業務内容や専門用語への理解が求められます。

建設事務の業務に活用できる資格

建設事務の仕事に役立つ資格には、いくつか選択肢があります。
例えば、日商簿記は簿記スキルを証明する資格として広く認知されており、建設業界でも役立ちます。

また、建設業経理検定試験や建設業経理事務試験は、建設業界特有の会計ルールを理解していることを示す資格で、経理業務を行う際に特に有用です。
さらに、CAD利用技術者試験を取得すれば、図面の作成や修正といった業務にも携われる可能性が広がります。

職種としての将来性

建設業界は、インフラの整備や老朽化した建物の建て替え需要が続くことから、今後も安定した成長が見込まれます。
そのため、建設事務職も将来性のある職種と言えるでしょう。
さらに、女性の活躍を後押しする企業が増えていることから、女性にとっても働きやすい環境が整いつつあります。

まとめ

建設業の事務職は、多忙で責任の重さから「きつい」と感じることも多いでしょう。
しかし反面、多様なスキルを身につけられる魅力的な職種でもあります。

業務効率を高めたり、キャリアプランを明確にしたりすることで、事務職特有の課題を乗り越えることが可能です。
さらに、スケジュール管理がしやすく、身体的な負担が少ないといった事務職ならではのメリットも見逃せません。

将来的な需要を考慮しつつ、自分に合った働き方を見つけることが、長く充実したキャリアを築くポイントです。
建設業の事務職に興味がある方は、必要なスキルや資格を検討し、次のステップへ進む準備を始めてみてはいかがでしょうか。

なお、建設業の事務職を追求した先のキャリアに「建設ディレクター」が挙げられます。
当サイト掲載の以下記事も参考のうえ、建設ディレクターへのキャリアアップもあわせて検討してみましょう。

建設ディレクターとは|仕事内容や求められるスキル、導入におけるポイントを解説