建設業経理士2級の難易度は?取得方法や効果、求められる場面について

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目次

建設業界における経理スキルを証明する資格として、建設業経理士2級が注目されています。建設業の経理に特化した知識やスキルを評価するもので、業界内での重要性が高まっている資格です。

この記事では、建設業経理士2級に関連する情報として、次の点について詳しく解説します。

  • 建設業経理士2級の試験概要
  • 建設業経理士2級が求められる現場・場面
  • 建設業経理士2級の取得難易度
  • 建設業経理士2級の取得で期待できること
  • 建設業経理士2級を取得する方法

建設業界でのキャリアアップを目指す方や、経理のスキルアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも「建設業経理士」とは

一般社団法人建設業振興基金が実施が実施する建設業経理士は、建設業界特有の会計や財務管理に関する専門的な知識を証明する資格です。建設業に特化した簿記のような資格であり、工事の受注から着工、完了後の入金まで、業界特有の資金の流れに対応するスキルを証明できます。

一般的な業界と異なる会計の仕組みや勘定項目が使われる建設業では、特化した知識を持つ経理担当者が必要とされています。

建設業経理士の取得により、建設業界の会計や財務に詳しいことを証明でき、経理担当者としての能力が評価される場面も増えるでしょう。建設会社の経理部門や、取引関係にある金融機関などでも大きなアドバンテージとなります。

参考:一般社団法人建設業振興基金:建設業経理検定

建設業経理士2級について

ここでは、建設業経理士2級試験の試験日程や内容、受験資格や費用について詳しく解説します。

試験日程

建設業経理士2級の試験は、年に2回実施されており、主に3月と9月に開催されます。試験日程は一般社団法人建設業振興基金が発表しており、試験の約3か月前に申し込み受付が始まります。

そのため、前もって準備を進めることが可能です。

試験内容

建設業経理士2級試験は、マークシート形式で行われ、出題範囲には建設業の簿記・原価計算・会社会計などが含まれます。主な問題形式は、以下のとおりです。

  • 仕訳問題:5問×4点
  • 個別計算問題:4問×3点)
  • 原価計算問題(配賦):7か所×2点
  • 完成工事原価報告書作成:12か所×2点
  • 精算表作成:10か所×3点

受験資格・費用

建設業経理士2級の受験に、特別な資格は不要です。年齢・学歴・職歴にかかわらず、誰でも受験可能であり、受験料は税込7,120円と、他の経理系資格と比較しても手軽な価格です。

ただし、一度支払った受験料は返金されないため、申し込む前に試験日程を十分確認しましょう。

建設業経理士2級が求められる現場・場面

建設業経理士2級は、建設業界における幅広いシーンで求められる重要な資格です。具体的には、以下の場面で特に必要とされています。

  • 建設業界への就職・転職活動
  • 社内での評価向上・キャリアアップ
  • 公共工事の入札
  • 建設業経理の実務

建設業は国のインフラを支える重要な仕事であり、建設業経理士は業界の知識を豊富に有した経理担当者として欠かせない存在です。そのため、建設業経理士の需要は今後も高まり続けるでしょう。

建設業経理士の資格取得により、キャリアの向上や収入の増加に直結するだけでなく、企業の成長や事業展開にも大きく貢献できるのです。

建設業界への就職・転職活動

建設業界における就職・転職活動において、建設業経理士2級の資格が有利となります。業界特有の会計処理や法律の知識を持つことを証明でき、特に建設業に関連す工事進行基準や建設業専用の勘定科目に精通していることをアピールできます。

結果、採用担当者から即戦力として期待されやすいでしょう。

社内での評価向上・キャリアアップ

建設業経理士2級を取得することで、社内での評価が高まり、キャリアアップの機会が広がります。決算業務や原価管理などの重要な業務を任されるきっかけとなることが多く、信頼性の向上にもつながります。

また、資格を取得しておくことで昇進や昇給のチャンスが広がる可能性もあるでしょう。

公共工事の入札

公共工事の入札においても、建設業経理士2級の資格が役立ちます。公共工事の入札には「経営事項審査」が必要であり、建設業経理士の資格保有者数が評価基準の一つとなっています。

そのため、建設業経理士2級の資格者を多く抱えている企業は、入札が有利になる可能性が高いでしょう。

建設業経理の実務

建設業経理士2級は、日常の経理業務においても多大な役割を果たします。資格を取得しておくことで、建設業特有の会計処理や税務に関する知識が身に付きます。

たとえば、未成工事支出金や完成工事高といった特殊な勘定科目や、工事進行基準に基づく収益認識など、複雑な会計処理を正確に行うことが可能です。結果、日々の経理業務をスムーズに進めることができ、業務の効率化にも貢献します。

建設業経理士2級の取得難易度

建設業経理士2級の試験は簡単なものではありません。しかし、しっかりとした学習計画を立てることで合格が狙える試験でもあります。

建設業経理士2級試験の難しさを知るためには、難易度の傾向や合格率、合格基準の3つを押さえておく必要があります。

難易度の傾向

建設業経理士2級試験は、簿記の基礎知識を前提としています。そのため、簿記の基礎がない方は、事前に学習をしておくべきです。また試験範囲も広く、建設業の簿記や原価計算、会社会計などを網羅しています。

特に、建設業特有の勘定科目や計算方法の理解が求められます。過去問を見ると似たような問題が出る傾向にありますが、計算問題ではケアレスミスをしやすいため、正確な計算が非常に重要です。

合格率

建設業経理士2級の合格率はおおよそ40%前後です。日商簿記2級の合格率(約25%前後)に比べて高いものの、油断は禁物です。

適切な学習計画と試験対策をしっかりと行うことで、合格する可能性は高くなるでしょう。

合格基準

建設業経理士2級の合格基準は、100点満点中70点以上です。問題数は少ないものの、限られた時間の中で正確に解答することが求められます。

そのため、時間配分を意識した練習や、効率的な学習法を意識することが大切です。特に苦手分野を早めに克服し、得意分野を伸ばすことが、高得点を取るために重視されます。

建設業経理士2級の取得で期待できること

建設業経理士2級の取得により、以下に挙げる効果が期待できます。

  • 転職・就職に有利になる
  • 社内での評価が向上する
  • 簿記の知識が身につく

建設業経理士2級は、建設業界で長く活躍するためのスキルアップにつながるのはもちろん、キャリアの選択肢を広げる可能性もある資格です。

転職・就職に有利になる

建設業界では、特殊な経理知識や業界独自の会計処理が求められるため、即戦力となる人材が常に求められています。建設業経理士2級を取得することで、応募企業にとっての即戦力であることを証明でき、転職活動において有利になるでしょう。

また、企業によっては資格手当が支給されることもあり、2級取得者には5,000円から10,000円ほどが相場とされています。

社内での評価が向上する

建設業経理士の資格は、建設業に特化した会計知識を持っている証拠となるため、社内での評価向上にもつながります。また、建設業界では企業が公共工事の入札資格を得るために「経営事項審査」を受ける必要があり、建設業経理士1級・2級の有資格者がいることが企業の評価を高める要因になるのです。

資格保有により入札が実現することで、自身の評価が上がることもあるでしょう。

簿記の知識が身につく

建設業経理士2級の学習を通じて、簿記の基礎知識を身につけられます。簿記は、企業の活動を記録し分析するための基本的なスキルであり、ビジネス全般において重要な役割を果たします。

建設業界のみならず他の業界でも役立ち、将来的に選べるキャリアの幅を広げることも可能です。加えて、日々の経理業務がより効率的になり、財務分析の精度も向上します。

建設業経理士2級を取得する方法

建設業経理士2級を取得するには、しっかりとした準備が必要です。以下では、取得に向けた流れと効果的な勉強方法について解説します。

1.試験概要の理解

まず、試験概要を正確に把握しましょう。建設業経理士2級試験は年に2回、3月と9月に実施され、全国各地の主要都市で受験可能です。出題範囲は、建設業特有の会計知識が中心で、簿記や原価計算、会社会計などが含まれます。

試験はマークシート形式で行われ、70点以上(100点満点中)を取得すると合格です。

2.学習計画の立案

建設業経理士2級の試験範囲は広いため、計画的な勉強スケジュールを立てることが重要です。簿記の知識が全くない方は約3か月、簿記3級程度の知識がある場合は1〜2か月を目安に勉強を進めると良いでしょう。

毎日の勉強時間は1〜2時間を確保し、教科書や問題集、過去問などを活用して学習します。独学に不安がある方には、通信講座を利用するのもおすすめです。

3.基礎知識の習得

建設業経理士2級を受験するにあたり、簿記の基礎知識をしっかりと身に付けることが重要です。簿記をまだ学んでいない方は、まずは基礎から学び始めましょう。その後、建設業に特化した勘定科目や会計処理方法に進んでください。

特に「未成工事支出金」や「完成工事原価」など、頻出の内容については重点的に理解を深めておく必要があります。

4.過去問の演習

過去問を活用して、出題傾向を掴むことも重要です。過去問に似た問題が出題されることが多いため、過去の試験を徹底的に解くことで合格への近道となります。間違えた問題については、原因を分析し、解き方を見直すことが効果的です。

また、試験時間内に全ての問題を解答できるように、時間配分の練習も取り入れましょう。

5.試験本番

試験当日は、早めに会場に到着し、落ち着いた状態で臨みましょう。焦らず、冷静に試験に挑むことが大切です。

建設業経理士2級の合格率は約40%前後なので、しっかりとした準備をすれば合格が狙える試験です。計画的に学習を進め、万全の状態で試験に挑んでください。

まとめ

建設業経理士2級は、建設業界における経理業務に特化した非常に重要な資格です。取得難易度は決して低くありませんが、取得することで転職や就職の際が有利になり、社内での評価を高めることも可能です。

さらに、公共工事の入札や実務においても、建設業経理士2級が要求される場面が多く、資格取得者がいることで、事業所全体にプラスの効果をもたらすこともあります。

建設業経理士2級を取得するためには、試験の概要をしっかり把握し、計画的な勉強と過去問を活用した実践的な対策が欠かせません。建設業でのキャリアアップや会社の運営を安定させたいと考えている人にとって、建設業経理士2級は挑戦する価値が十分にあるものと言えるでしょう。