建設業における有資格者とは?建設業許可に必要な資格について解説

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目次

建設業を営むうえでは、法律で定められた許可要件を備えていなければなりません。

その許可要件の中に「有資格者」に関する内容があるのですが、建設業においての有資格者がどんな人材を指すのか、その定義が曖昧という方も多いでしょう。

今回は、建設業における有資格者とは何か、以下の関連情報とあわせて解説します。

  • 建設業法・建設業許可について
  • 建設業で設置義務がある資格
  • 建設業の許可に必要なその他の資格
  • 建設技術者に求められる資格
  • 建設業者が覚えておくべき有資格者一覧表について

ぜひ本文をご覧ください

建設業と有資格者の関係性

建設業における「有資格者」は、建設業法にて定められた一般・特定建設業許可基準の資格を有した者のことを指します。

建設業では、法律により工事現場に配置すべき資格者が定められています。

一定以上の規模感がある工事を請け負う際、安全性の確保や品質向上の視点から、主任技術者・監理技術者などの資格を有した人材を現場に配置しなければなりません。

また国土交通省から発表されている建設業の許可要件に関するページを見ると、営業所ごとに一定の資格もしくは経験を有した専任技術者の配置が必要であることがわかります。

なお国土交通省では同ページ内で、有資格者以外に関する許可要件についても記載されています。

建設業を営むうえで重要な情報となりますので、有資格者に関連する部分以外も熟読しておくと良いでしょう。

情報参考:国土交通省|建設業の許可>許可要件

建設業法・建設業許可について

建設業において、法律に則って資格者を配置すべきとされていることから、建設業法や建設業許可の理解を深めることも重要です。

建設業法は、1949年に施行された、建設業界における質の向上と公正な取引を促進することを目的とした重要な法律です。

この法律は「建設業としての資質向上」が主な目的です。

また、建設工事における請負契約の適正化により、建設工事が正しく施工されることを保証することによって、発注者の保護や建設業の発展を促進し、公共の福祉を増進することも建設業法の目的として挙げられます。

また建設業法により、建設業で事業を行うすべての法人・個人は、一定の基準を満たす必要があります。特に、請負代金が一定額以上の建設工事を行う場合には、建設業許可が必要です。

建設業許可を取得するためには、有資格者の配置も含め、経営の健全性・施工能力・財務状況など、法律で定められた複数の要件を満たさなければなりません。

建設業で設置義務がある資格

建設工事を行ううえでは、適正な施工確保のために所定の資格を有した人材を配置し、施工状況を管理・監督する必要があります。

ここでは、建設業で設置義務がある、主任技術者・監理技術者について解説します。

主任技術者

主任技術者は建設業法に基づき、工事現場の施工管理を担当する重要な技術者のことです。

すべての工事現場に配置が必須であり、その役割は施工計画の立案、工程や品質の管理、安全確保、そして現場作業者の指導や監督まで幅広い範囲まで及びます。

なお元請の場合は、下請け業者への指導も求められるでしょう。

主任技術者には特定の学歴や、1級または2級の国家資格、または特定業種での10年以上の経験など、一定の資格や経験が必要とされています。

監理技術者

監理技術者は、建設工事の施工現場における技術水準の管理を行う専門家です。建設業法により、特定建設業者が下請業者に3,000万円以上の工事を外注する際には、監理技術者を現場に配置する義務があります。

監理技術者は、建設現場の指揮・監督を行い、技術の水準を保つ重要な役割を担います。

なお監理技術者になるには、国土交通大臣の登録を受けた機関での講習を受講し、監理技術者資格者証の交付を受けなければなりません。

監理技術者資格者証は、各建設業の種類に応じて定められた一定の資格を持つ者に対して交付されるものです。

【工事種別】建設業の許可に必要な資格

建設業の許可を得るためには、工事の種類ごとに必要な資格が異なることを覚えておかなければなりません。ここでは、建設業の許可に必要な工事種別の資格の例を紹介しているので、有資格者の配置における参考情報としてお役立てください。

建築工事

土木・とび工事

左官工事

大工工事

電気工事

・建築施工管理技士(一般建設業の場合)
・建築士(1級・2級)

※特定建設業の場合はいずれの資格も1級の取得が必要

・建設機械施工技士(1級・2級)
・土木施工管理技士(1級・2級)
・技術士

・建築施工管理技士(1級・2級)

※2級の場合は合格後に3年以上の実務経験を積む必要あり

・建築施工管理技士(1級・2級)
・建築士(1級・2級)
・木造建築士
・建築大工もしくは型枠施工の技能検定への合格

・電気工事士(一種・二種)
・電気工事施工管理技士(1級)
・建設・総合技術監理技師

上記のように、工事の種類によって求められる有資格者は異なります。また以下に挙げているとおり、より細かい工事種別で有資格者の必要性が異なることも覚えておきましょう。

  • 石工事:建築施工管理技士(1級)、土木施工管理技士(1級)
  • 管工事:管工事施工管理技士(1級・2級)、給水装置工事主任技術者
  • 鋼構造物工事:技能検定鉄工、技術士
  • 鉄筋工事:鉄筋工事の実務経験(3〜5年以上)
  • 舗装工事:建設機械施工技士
  • 板金工事:建築施工管理技士、技能検定資格(建築板金・工場板金・打出し板金)
  • 防水工事:技能検定(防水施工)

建設業法では、配置技術者とみなされる国家資格を取得した有資格者が求められています。

特定建設業・一般建設業それぞれで求められる国家資格は異なるため、国土交通省の発表した「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」を参考に、自社に配置すべき有資格者の分類を把握しておきましょう。

情報参考:国土交通省|建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧

建設業者が覚えておくべき「有資格者一覧表」

建設業を営むうえでは、建設業法・建設業許可に従って有資格者を配置しなければなりません。

その際に役立つのが「有資格者一覧表」です。

建設業における有資格者一覧表とは、作業員が有する資格を把握・管理するための一覧表を指します。

有資格者一覧表を作成しておけば、作業員の誰が有資格者なのかすぐに判断できるでしょう。

有資格者一覧表はなぜ必要か

有資格者一覧表が必要な理由は、事業所に在籍する有資格者をスムーズに把握するためです。

建設業に関する資格は多岐にわたり、一人が複数の資格を有していることも多いでしょう。

そのため、有資格者一覧表を用意し、有資格者の情報をより把握しやすくする必要があるのです。

加えて建設業においては、特定の資格を有していないと許可が降りません。

有資格者一覧表を用意・提出することで、法令に則った事業を行うことが可能になります。

作業員が有している資格を把握し、法令に遵守しつつ適切に人員配置を行うのに役立つのが有資格者一覧表なのです。

万が一有資格者一覧表の情報が誤っていた場合、法令違反とみなされてしまうため、事業所存続に悪影響を及ぼさないよう、正確に作成する必要があります。

有資格者一覧表の作成方法

有資格者一覧表は、以下の項目を記載のうえ作成します。

  • 会社名(事業所名)
  • 作成した日
  • 有資格者の情報(氏名など)
  • 資格の名称

なお作成日に関しては、できるだけ最新のものを記載するようにしてください。

あわせて、作成日時点で資格の有効期限が切れていないか、確認することも大切です。

なお有資格者一覧表は、主にExcelなどのフォーマットを使用して作成することが多いでしょう。

同業他社が提供しているフォーマットも役立つので、あわせて利用してみましょう。

まとめ

建設業を営むうえで、建設業許可につながる有資格者の確保・把握は必要不可欠です。

建設業法で必須とされる資格を有した人材がいないまま運営してしまうと、法令違反になってしまいます

運営・施工を行ううえでどのような資格が必要か、工事種別に把握しておくと良いでしょう。

もし事業所に在籍する作業員の多くが資格を有している場合は、有資格者一覧表を用意のうえ適切に管理することも大切です。

有資格者は、事業の安定的な運営につながる重要な存在であるため、本記事で紹介した内容を参考にその重要性や詳細を理解しておきましょう。