【2024年最新】建設物価指数を解説|積算における活用法やメリットも紹介
目次
建設業者が積算や見積もりを出す際に欠かせないのが建設物価指数です。
本記事では、建設物価指数の動向を詳しく解説します。
また、積算において建設物価指数を用いるメリットや活用方法なども解説しているので、参考にしてみてください。
建設物価指数と動向
一般社団法人 建設物価調査会が毎月公表している、建設物価指数の動向の最新(2024年3月分)を解説します。
建設工事に関連する、工事費・資材価格・労務費などを、以下のように建築物の種類や各エリアごとまとめて結果を公表しています。
- 代表4建物指数
- 都市別指数(9都市)
それぞれ詳しく解説するので参考にしてみてください。
代表4建物指数
代表4建物指数は、集合住宅・事務所・工場・住宅の4種類の建物ごとの指数です。
2015年を基準(100)とした各建物の工事原価は、以下の通りです。
- 集合住宅(鉄筋コンクリート造):129.7で前月比1.3%上昇(前年同月比+6.9%)
- 事務所(鉄骨造):131.0で前月比0.7%上昇(前年同月比+5.9%)
- 工場(鉄骨造):130.6で前月比0.5%上昇(前年同月比+5.6%)
- 住宅(木造):136.9で前月比2.2%上昇(前年同月比+4.9%)
前月比で見ると、住宅(木造)の上がり幅が一番大きいですが、前年比は集合住宅(鉄筋コンクリート造)が一番上がり幅が大きくなっているのがわかります。
出典:建設物価 建築費指数【2024年3月分】|一般社団法人 建設物価調査会
グラフを確認すると、どの建物も2020年あたりから原価が高騰しています。
都市別指数(9都市)
都市別指数(9都市)における2024年3月の工事原価は、以下の通りです。
集合住宅(鉄筋コンクリート造) | 事務所(鉄骨造) | 工場(鉄骨造) | 住宅(木造) | |
札幌 | 133.0(前月比1.0%上昇) | 132.6(前月比1.0%上昇) | 132.4(前月比0.4%上昇) | 138.1(前月比2.0%上昇) |
仙台 | 122.6(前月比1.3%上昇) | 128.5(前月比0.7%上昇) | 127.5(前月比0.4%上昇) | 133.6(前月比2.1%上昇) |
新潟 | 127.5(前月比1.5%上昇) | 130.9(前月比0.7%上昇) | 130.3(前月比0.5%上昇) | 135.9(前月比2.2%上昇) |
金沢 | 128.2(前月比1.5%上昇) | 131.1(前月比0.8%上昇) | 130.6(前月比0.6%上昇) | 136.1(前月比2.3%上昇) |
名古屋 | 128.4(前月比1.3%上昇) | 130.4(前月比0.7%上昇) | 129.9(前月比0.5%上昇) | 136.3(前月比2.3%上昇) |
大阪 | 133.2(前月比1.9%上昇) | 132.2(前月比0.8%上昇) | 132.3(前月比0.7%上昇) | 137.9(前月比2.3%上昇) |
広島 | 128.3(前月比1.5%上昇) | 130.1(前月比0.7%上昇) | 129.3(前月比0.6%上昇) | 136.5(前月比2.2%上昇) |
高松 | 132.4(前月比0.9%上昇) | 132.7(前月比0.6%上昇) | 132.7(前月比0.4%上昇) | 137.6(前月比2.0%上昇) |
福岡 | 131.2(前月比1.2%上昇) | 132.0(前月比0.6%上昇) | 131.3(前月比0.4%上昇) | 137.8(前月比2.1%上昇) |
出典:建設物価 建築費指数【2024年3月分】|一般社団法人 建設物価調査会
都市別を確認しても、全国的に工事原価が高騰しているのがわかります。
そもそも建設物価指数とは
建設物価指数は、建築物の工事において、工事にかかるコストの動向が把握できる物価指数です。
建設企業でどのように役立つのか、また建設資材物価指数との違いも詳しく解説します。
積算を行うための指標
建設物価指数は、建設業において重要な積算を行う際に活用できる指標です。
建設物価指数では、毎月、資材価格をエリアごとに公表しているため、民間工事や公共工事において、積算時の根拠として活用されています。
根拠となる指数を基に積算を行うため、想定される利益が計算しやすくなります。
また、建設物価指数をベースに発注者とも話ができるため、両者間での大きな認識違いは起きないでしょう。
建設資材物価指数と建築物価指数の違い
建設資材物価指数は、建設に利用する資材の総合的な価格動向を表した数値です。
建設資材物価指数では、燃料(電気代・ガス代など)やサービス(機械賃貸・機械修理・土木建築サービスなど)の料金を除いて指数を算出しています。
そのため、建設工事に使用する資材の物価変動をより正確に観察でき、分析に役立てられます。
一方、建築物価指数は、資材の物価に限定するのではなく、資材に加えて工事費用や労務費なども含んだ建設費全体を対象とした指数のことです。
建設資材物価指数の動向
建設資材物価指数の動向は、以下の通りです。
- 建設総合:135.8で前月比0.0%上昇(前年同月比+3.3%)
- 建築部門:135.9で前月比0.0%上昇(前年同月比+2.4%)
- 建築補修:132.0で前月比0.0%上昇(前年同月比+4.2%)
- 土木部門:137.9と前月比0.1%上昇(前年同月比+5.1%)
資材の大分類別を確認すると、「非鉄金属」「窯業・土石製品」「石油製品・舗装材料」の3大分類がプラスになっています。
一方、「紙・木製品」「化学製品」の2大分類は、マイナスに転じています。
出典:建設物価 建設資材物価指数【2024年4月分】|一般社団法人 建設物価調査会
積算において建設物価指数を用いるメリット
積算において建設物価指数を用いるメリットは、以下の3つです。
- 社会情勢を反映しやすい
- 積算業務を効率化できる
- 積算価格の透明性を高められる
それぞれ詳しく解説します。
社会情勢を反映しやすい
積算において建設物価指数を用いるメリットの1つに、社会情勢を反映した価格設定がしやすい点が挙げられます。
毎月更新される建設物価指数は、常に最新の建設価格を把握できるため、積算や見積もりを作る際にも最新情報を基に作成可能です。
信頼性の高い正確な物価指数を用いるため、利益の計算や他社への交渉もスムーズに行えます。
積算業務を効率化できる
建設物価指数を用いることで、積算業務を効率的に進めることが可能です。
例えば、積算業務において、歩掛を用いて一つずつ計算すると、非常に手間がかかりますしミスが出る可能性も少なくありません。
建設物価指数を用いることで、毎月最新の指数を用いて計算できるため、自社の仕入れ単価を管理し続ける必要もないのです。
さらに、公表された指数を基に積算するため、計算する手間をなくせて、業務の効率化につながります。
積算ソフトもあるので、ソフトを使用することで、単価設定や更新も効率化でき、業務効率をさらに改善できます。
積算価格の透明性を高められる
一般社団法人 建設物価調査会が公表する建設物価指数を用いることで、透明性が高い積算になります。
建設物価指数という根拠を基にするため、企業ごとの主観もないわけです。
また、建設工事会社間での取引においても、積算価格の透明性を高めることで、お互いの共通認識として、適正価格で取引が可能です。
積算を行う際の建設物価指数の活用法
積算を行う際の建設物価指数の活用法は、以下の3つです。
- 市場単価方式を用いて計算する
- 建設物価指数を用いて将来的な建設物価指数を予測する
- 積算ソフトを活用し建設物価指数を読み込む
それぞれ詳しく解説します。
市場単価方式を用いて計算する
積算を行う際の建設物価指数の活用法の一つが、市場単価方式を用いて計算することです。
公共工事においては歩掛による積算が一般的ですが、国土交通省では積算をする際に市場単価方式を導入しています。
市場単価方式を用いる理由は、労働者の高齢化やデジタル技術の進歩など、工事が多様化したことで、合理的な積算が求められるようになったからです。
市場単価がある場合は、市場単価方式を用いるように規定されているのです。
市場単価であれば、資材価格や工事費用、労務費まで含まれた取引価格を把握でき、さらに地域(都市)による違いも考慮されています。
また、最新技術や新たな工法を採用する際にも、市場価格であれば参考にできる場合もあります。
このように、市場単価方式には工事手法の進歩や社会情勢の変化、経済状況の変化などの価格が反映されており、実態との乖離が少ない状態で積算を行うことが可能です。
建設物価指数を用いて将来的な建設物価指数を予測する
将来的な予測がしやすいのも、積算を行う際に建設物価指数を活用するメリットの一つです。
建設物価指数は、毎月公表されるとはいえ、公表された時点ではすでに過去の情報です。
建設工事は、数ヶ月・数年単位の長期にわたるため、公表時点だけの建設物価指数だけでは、将来的に予想される利益に大きなズレが発生する可能性もあります。
ただし、建設物価指数は価格の変動推移も公表しています。
過去のデータを参照しながら価格変動を確認することで、現実的な建設物価を予測でき、利益確保の可能性も高まるでしょう。
積算ソフトを活用し建設物価指数を読み込む
積算ソフトを活用し建設物価指数を読み込むことで、より簡単に積算・見積もりが可能になります。
建設物価指数を基に、資材価格や工法などの単価を登録することで、積算経験の少ない担当者でも正確な計算が可能です。
また、毎月の建設物価指数に対応し、利益率の設定も済ませておくことで、積算した工事金額から見積もり金額の算出もできます。
非常に便利な積算ソフトには無料のものもあるので、自社の状況に合わせて選んでみてください。
まとめ
本記事では、最新の建設物価指数に加えて、建設物価指数の概要や積算において建設物価指数を活用するメリットなどを解説しました。
あらためて確認すると、2024年3月度の建設物価指数は以下の通りです。
- 集合住宅(鉄筋コンクリート造):129.7で前月比1.3%上昇(前年同月比+6.9%)
- 事務所(鉄骨造):131.0で前月比0.7%上昇(前年同月比+5.9%)
- 工場(鉄骨造):130.6で前月比0.5%上昇(前年同月比+5.6%)
- 住宅(木造):136.9で前月比2.2%上昇(前年同月比+4.9%)
建設物価指数を活用することで、積算にかかる作業を効率化でき、かつ透明性の高い積算価格を算出可能です。
業務の効率化を進めるためにも建設物価指数は欠かせないと言えます。
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