【2024年版】建設国保とは|必要性や加入のメリット・デメリット

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目次

建設業に従事する方にとって、保険の選択は重要な検討事項です。
特に、建設業界向けの医療保険制度である建設国民健康保険(建設国保)は、業界特有のニーズに応えられる制度として注目を集めています。
一般的な国民健康保険とは異なる特性と利点があり、とりわけ一人親方や小規模の建設業者にとって有力な選択肢となり得るでしょう。

本記事では、建設国保に関する以下のトピックをまとめています。

  • 建設国保の概要
  • 建設国保の加入方法や給付内容、国保との違い
  • 建設国保に加入するメリット・デメリット
  • 一人親方との関係性

上記に加え、建設国保における2024年段階での変更点についても解説しています。
保険に関する悩み・疑問のある建設業者や一人親方にとって、参考情報となれば幸いです。

建設国保とは

建設国保とは、建設業で働く方が加入するための国民健康保険組合です。
昭和45年に発足し、病気や怪我があった際に、加入者の保険料と国の補助金を通じて相互扶助を実現することを目的としています。
現在、全国で約11万人が加入しており、建設業界ならではのニーズに合わせた制度となっているのが大きな特徴です。

ここでは建設国保について、加入方法や給付内容、国保との違いといった視点から解説します。

加入方法

建設国保に加入する際の手順は以下の通りです。

1.必要書類の準備

  • 加入申込書・重要事項説明同意書・世帯全員分のマイナンバーが記載された住民票(発行から3ヶ月以内)、健康保険証のコピー、建設業従事者であることを証明する書類が必要
  • 状況に応じて追加の書類が求められる場合もある

2.申込書類の提出

  • 最寄りの支部で「加入申込書」と「重要事項説明同意書」を入手する
  • 必要事項を記入したうえで各種書類を添付して提出する
  • 申請にあたっては、全国建設工事業国民健康保険組合の支部に問い合わせる

給付の内容

建設国保では、以下の給付が提供されます。

  • 医療給付:病気や怪我による治療費を補助し、入院費もカバーする
  • 高額療養費制度:医療費が高額に達した際に自己負担を軽減する制度で、長期治療に伴う経済的負担をサポートする
  • 入院給付金:組合員が入院した際に支給される
  • 出産手当金:組合員が出産した際に支給される
  • 健診料補助:健康診断の費用が補助される制度
  • 予防接種補助:予防接種の費用が補助される
  • 保養施設利用補助:保養施設を利用する際の費用が補助される

建設国保は、建設業に従事する方が安心して働けるよう、病気や怪我などさまざまな状況における経済的な支援を行っています。

建設国保と国保の相違点

建設国保と一般の国保には、運営主体と保険料の決定基準という大きな違いがあります。

建設国保は全国建設工事業国民健康保険組合が運営し、保険料は家族構成や年齢に基づいて決められます。
一方、国保は各市町村が運営し、保険料は所得に応じて設定されるのが特徴です。

つまり、建設国保は建設業界に特化した同業者向けの保険であるのに対し、国保は地域住民を対象にした地方自治体の運営する保険と言えるでしょう。
なお、どちらか一方しか選べないため、加入前によく検討することが重要です。

建設国保が必要な人の特徴

建設国保が必要なのは、建設業に従事する個人事業主や一人親方、そして保険料の節約を重視する方です。

建設国保では、保険料が所得ではなく年齢区分や就業状況、家族の人数に基づいて決定されます。
そのため、所得が高く家族の加入人数が少ない方にとっては、一般の国民健康保険や協会けんぽと比較して保険料が安く抑えられる可能性があります。

また、建設国保は通常の国保の補償に加えて、入院給付金や出産手当金も含まれているため、補償内容を手厚くしたい方にも適した選択肢です。

建設国保に加入するメリット

ここでは、建設国保に加入する以下3つのメリットについて解説します。

  • 所得に関係なく保険料が安定する
  • 補償内容が充実している
  • 事業主負担がない

建設国保の概要も把握しつつ、上記のメリットを参考のうえ加入すべきかどうか判断してください。

所得に関係なく保険料が安定する

建設国保の保険料は所得の大小にかかわらず、年齢や就業状況、家族の人数などをもとに決まります。
前年の所得で保険料が変動する国民健康保険と異なり、収入が安定している人にとっては、建設国保の方が保険料が抑えられる場合があるでしょう。
特に高収入で家族の加入が少ない方にとって、大きなメリットとなり得ます。

補償内容が充実している

国民健康保険と同様の基本医療給付に加え、入院時の給付金や出産手当金など独自の給付を備えているのも建設国保の特徴です。
建設国保の仕組みは、建設業界の特有なリスクに対応するために設計されていると言えるでしょう。
国保では受けられない建設国保特有の給付金は、病気や怪我、出産時の経済的な負担軽減に役立つものです。

事業主負担がない

建設国保では、事業主による保険料の負担がありません。
そのため、保険料は従業員が全額負担する形になりますが、場合によっては協会けんぽよりも従業員にとって有利な選択肢となり得ます。
特に小規模な事業者にとって、保険料負担が軽減される点で大きな利点があると言えるでしょう。

建設国保の加入にはデメリットもある

建設国保の加入はメリットも多い反面、以下のデメリットがあります。

  • 家族構成によって保険料が高額になる
  • 従業員が保険料を全額負担する
  • 加入要件が限定的である


ここで紹介するデメリットもしっかり把握のうえ、改めて建設国保の加入について検討することをおすすめします。

家族構成によって保険料が高額になる

建設国保の保険料は、家族構成や年齢によって変動します。
そのため、家族が多い方は国保と比べて保険料が高くなる可能性があります。
特に、扶養する家族が多かったり小さな子供がいたりする場合、国保の方が負担が軽くなるケースも多いでしょう。

従業員が保険料を全額負担する

事業主が保険料を負担しない建設国保においては、従業員への負担が大きくなります。
協会けんぽのように事業主と従業員で折半する保険と比べると、従業員の負担が大きくなる点はデメリットと考えられるでしょう。

加入要件が限定的である

建設国保は、建設業に従事する方のための健康保険です。
従業員5名以上の事業所は加入対象外で、建設業以外に従事する方や75歳以上の方も加入できません。

一人親方と建設国保の関係性

一人親方は個人事業主であるため、国民健康保険への加入が必要です。
国民健康保険には市町村国保と建設国保の2種類があり、建設業に従事する一人親方は建設国保に加入することが可能です。

一人親方が建設国保に加入すべきパターン

一人親方が建設国保への加入に適しているのは、収入が高く、家族が少ない場合です。
建設国保では、保険料は所得ではなく年齢や家族構成に基づいて決まるため、所得が高い場合、市町村国保よりも建設国保の方が保険料が抑えられる可能性があります。

しかし、家族が多い場合は、市町村国保の方が有利になることもあるため、どちらが適しているかを比較することが大切です。

建設の国保における2024年の変更点

2024年の建設国保では、保険料の見直しと保険証の有効期限に関する変更が行われています。
保険料は、医療費の増加や高齢化に対応するため、医療分・後期高齢者支援金分・介護分すべてにおいて改定されました。
また、国の補助金を活用して、未就学児を持つ子育て世帯の負担を軽減する措置も新たに導入されています。

保険証の有効期限に関しては、2024年4月1日以降に発行される保険証について、令和7年9月30日までの1年6ヶ月に延長されることが決まりました。

2024年段階の保険料について

2024年度の建設国保の保険料は、加入者の年齢や就業形態、扶養家族の有無によって異なります。

例えば、30歳未満で独身の場合、保険料は月額17,900円または18,000円となります。40歳未満で独身の場合は、月額24,900円または25,000円です。

さらに、40歳以上の被保険者には介護保険料として月額3,900円が追加されます。

なお、未就学児の保険料は軽減されますが、介護保険料に関しては免除対象とはなりません。

年齢区分

30歳未満

40歳未満

55歳未満

65歳未満

65歳以上

家族(未就学児以外)

家族(未就学児)

月額保険料(円)

17,900~18,000

24,900~25,000

※28,800~28,900

※30,000~30,100

27,000~27,100

※30,900~31,000

9,100~9,800

介護分

-

※3,900

※3,900

※3,900

-

※3,900

-

※介護分は、40歳の到達月から65歳の到達月の前月分まで賦課


保険料については、医療費・入院給付金・出産手当金などの給付金の支払いに充てられます。

参照:全国建設工事業国民健康保険組合|建設国保の保険料

まとめ

建設国保は、建設業に従事する方のために設けられた特別な医療保険制度です。
所得に左右されない安定した保険料や、手厚い補償内容といったメリットがある一方で、家族構成による保険料の増減や加入要件の制限といったデメリットもあります。

特に一人親方の場合は、自身の働き方や家族構成を考慮し、最適な保険選びが求められます。

2024年の制度改定も視野に入れ、安定した事業運営と健康維持をサポートする医療保険を選ぶことが重要です。