土木工事資材等単価表の役割と重要性|項目や単価算出法紹介

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目次

土木工事の施工単位あたりの費用として、土木工事標準単価があります。この土木工事標準単価が記載されたもののことを「土木工事資材等単価表」というのですが、その概要や重要性、記載される項目について詳しくわからないという方も多いでしょう。

今回は、土木工事資材等単価表に関連する、

  • 土木工事資材等単価表の概要
  • 土木工事資材等単価表の重要性
  • 土木工事資材等単価表に含まれる項目
  • 土木工事資材等単価表に関する注意点
  • 土木工事における標準単価と市場単価の概要とそれぞれの違い

について解説します。

土木工事資材等単価表とは?

土木工事資材等単価表について知る前に、そもそも「土木工事資材等単価」とは何かを理解する必要があります。

土木工事標準単価は、標準的な工法における施工単位あたりの工事費を指します。工事業者の施工実績に基づいた調査による材料費・歩掛などの情報によって算定されるのが特徴です。

土木工事資材等単価表とは、土木工事における積算に活用する、資材単価を記載した一覧表のことです。物価資料に掲載された単価により設定された項目が多く含まれています。

なお、土木工事資材等単価表は、関東地方整備局をはじめとしたさまざまな機関により発表されています。また土木工事資材等単価に関しては、国税庁が発表する「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】」を参考にすることが可能です。

土木工事資材等単価表はなぜ重要?

土木工事資材等単価表は公共プロジェクトの実行に当たり、透明性・客観性・妥当性の保証を目的として公開されています。

受注者が適切な見積もりを作成するための基準となり、それによって競争力を維持し、公平な取引を促進する役割を果たします。

土木工事資材等単価表は公共プロジェクトの公正な実施を支える重要なツールであり、その公表は公共プロジェクトに関わるすべての関係者にとって有益であると言えるでしょう。

土木工事資材等単価表に含まれる項目

土木工事資材等単価表は、土木工事に関連する各種資材や労務の単価を一覧にしたもので、具体的な項目としては以下のようなものが含まれています。

  • 資材
  • 労務
  • 単価

なお、上記の項目に加え、作業場所(都市部・郊外・山間部など)や作業時期(季節・天候)、施工条件(地盤状況、周辺環境など)も項目として加えられます。これらの項目すべてが土木工事資材等単価表を構成しており、公平で透明性のある工事の見積もり作成に寄与しているのです。

資材

まず資材として、土木工事で一般的に使用される以下の素材が挙げられます。

  • 盛土・路盤・擁壁などに使用される土
  • コンクリートやモルタルの骨材として使われる石や砂
  • コンクリートやモルタルの製造に必要なセメント
  • 道路舗装に用いられるアスファルト
  • 鉄筋や鋼管、鋼板の材料となる鋼材
  • 型枠や仮設工事に使われる木材
  • 水道管や下水道管、電線管などの管材

上記の他に塗料や接着剤、養生材などが挙げられます。

労務

労務に含まれるのは、以下のとおりです。

  • 掘削や運搬、転圧などの土工事に関する作業
  • コンクリート打設や型枠組立、鉄筋配筋などのコンクリート工事に関する作業
  • アスファルト舗装やアスファルト合材製造などのアスファルト工事に関する作業
  • 水道管や下水道管、電線管の敷設などの管路工事に関する作業

加えて、塗装や電気工事、設備工事なども労務に含まれます。

単価

単価として含まれる項目は、以下を参考にしてください。

  • 資材の購入費用である材料費
  • 作業員の賃金である労務費
  • 機械のレンタル費用である機械経費
  • 資材の運搬費用

また、下請業者への支払い費用である下請経費などが含まれます。

土木工事資材等単価表に関する注意点

土木工事資材等単価表について、さまざまな点に注意しなければなりません。

  • 資材単価表の貸出は行われない
  • 問い合わせ内容によっては対応できない場合がある
  • 単価表を基にした公表資料の二次的著作物の作成が禁止されている
  • 単価表上の空欄は、調査不能または採用されていない資材を示す
  • 未調査の材料単価は掲載されていない

単価表は、建設物価調査会や経済調査会が発行する物価資料に掲載されている単価を元に設定されていますが、著作権により非公表とされています。

そのため、情報公開請求があったとしても原則公表はできません。ただし、販売されている物価資料から単価を算出することは可能です。

土木工事資材等単価表に掲載されている単価は、あくまでも参考値です。実際の市場価格とは異なる場合があり、地域や時期によって単価が変動することもあります。

また、土木工事資材等単価表は定期的に更新されているため、最新版を使用しないと、誤った見積もりを作成してしまう可能性も視野に入れておきましょう。

土木工事における標準単価と市場単価

土木工事資材等単価表について理解を深めるためには、土木工事における標準単価と市場単価の概要について把握する必要があります。

標準単価

土木工事における標準単価とは、標準的な工法による施工単位当たりの工事費のことです。一般財団法人建設物価調査会が全国で調査した経費や労務費、材料費などに歩掛を掛け合わせて計算されます。

標準単価は、材料費・労務費・機械経費などを合計した価格で、これを基に発注者と受注者が価格交渉を行います。また標準単価は、工事の見積もりを出す際にも活用されます。標準単価の存在により、工事の費用が透明性を持つため、公平な取引が可能となるのです。

市場単価

土木工事の市場単価とは、具体的には市場で実際に取引されている土木工事の単価を指します。標準単価とは異なり、材料費・労務費・機械経費・運搬費・下請経費などのすべてを含めた工事の全体費用を示すものです。

市場単価は、発注者と受注者間の価格交渉に際して重要な役割を果たします。標準単価と比較し、工事費の妥当性を判断するための基準となるためです。また、積算方法の一つである「市場単価方式」で積算を行う際にも使用されます。

市場単価の情報は、一般財団法人建設物価調査会や、各民間企業が発行する土木工事資材等単価表などを通じて得ることが可能です。

なお、市場単価は一定ではなく、地域や時期、工事の種類や規模、発注者や受注者によって変動します。

標準単価・市場単価の違い

土木工事の標準単価と市場単価には、それぞれ内訳・算出方法・週休2日制の対応における違いがあります。ここでは、土木工事における標準単価・市場単価の違いについて解説します。

内訳

標準単価には単価の詳細な内訳がありますが、市場単価にはないことが違いとして挙げられます。

標準単価の詳細な内訳に含まれるのは、以下のとおりです。

  • 機械運用費
  • 人件費
  • 材料費
  • 雑費

上記は単位量ごとの機械の作業時間・労働力・材料の量によって定められます。これらの要素を合計して求めた単価を、設計量に掛けて積算する方法が採用されるのです。

一方、市場単価は各工種について調査を実施し、機械運用費・人件費・材料費・雑費などをすべて合わせた価格が各工種の単価となります。

算出方法

土木工事資材等における単価の計算方法も、標準単価と市場単価それぞれで異なります。

標準単価は、全国規模での時間調査により算出されるのが特徴です。時間調査・別名施工形態動向調査を実施のうえ、最新の機械利用費や人件費、素材費を合計して算出します。

対して市場単価は、取引金額の実状を調査して計算されるのが特徴です。市場単価は現実の状況により近く、標準単価は一般的に単価が高くなる傾向にあります。

週休2日制の対応

国土交通省は建築業界の労働環境を改善するため、積算のプロセスにも週休2日制の対応を含めるように推奨しています。平成30年度以降、公共建設プロジェクトにおける週休2日制に対応するための人件費と機械経費の修正が実施されました。

一方、市場単価には内訳が存在しないことから、週休2日制の工事における人件費の修正が困難だと考えられていました。しかし、国土交通省により、令和3年度から市場単価にも修正係数が設定されたのです。

まとめ

土木工事資材等単価表は、公共の事業における透明性や客観性、妥当性を確保する役割がある重要なツールです。また、的確な見積もりに資する側面や、競争性、公平性を期すことも目的とされています。

国土交通省をはじめ、土木工事資材等単価表はさまざまな機関・団体が掲示しています。この機会に、各機関が提示する土木工事資材等単価表を確認し、その内容を参考情報として活用しましょう。