土木作業員の仕事とは?資格や適性、将来性について解説

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木材や石材、鉄を使用して道路・河川の整備や宅地の区画整理、自然災害発生時のインフラ復旧作業といった仕事を行うのが土木作業員です。多くの人が当たり前に生活できるよう陰から支えるのが土木作業員の役割ですが、その具体的な仕事内容まで理解できていない方もいるでしょう。

今回は、土木作業員について、

  • 土木作業員の仕事内容
  • 土木作業員の仕事を有利にする資格
  • 未経験での就業について
  • 土木作業員の適性
  • 土木作業員の将来性

これらの視点から解説します。

土木作業員を目指そうと考えている方、今後就く仕事の選択肢に土木作業員を加えてみようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

【種類別】土木作業員の仕事内容

ここでは、土木作業員の仕事内容について、土工業務・機械土工業務の2種類に分けて解説します。これらはあくまで仕事の「分類」であり、実際は配属される現場によって行う仕事が異なることを認識しておきましょう。

土工業務

「土工業務」と呼ばれる作業は、建設現場における土木工事全体を通じて行われる重要な業務です。建設プロジェクトの基盤を形成し、安定性と耐久性を確保する仕事を指します。具体的には、掘削・運搬・盛土・転圧・整地、そしてその他の作業が含まれます。

掘削は、建物の基礎や道路の設置のために、土地を掘り起こす作業です。次に運搬とは、掘り出した土や建設資材を現場内や他の場所へ移動させる作業のことを指します。盛土は、建物の基礎や擁壁を作るために、土を盛り上げる作業です。

また転圧は、盛り土した土を締め固めて安定させる作業で、これにより建設物の安定化が図られます。さらに、整地は地面を平らにする作業で、建築物の設置のための適切な土台を提供します。その他の作業としては、排水設備の設置や擁壁の施工などがあります。

土工業務は人力で行われることもありますが、大規模なプロジェクトでは重機を用いることが一般的です。土工業務が適切に行われないと、建物の不同沈下や道路の陥没など、様々な建設上の問題が発生する可能性があるため、その重要性は極めて高いと言えます。

機械土工業務

「機械土工業務」とは、建設現場で重機を用いて行われる一連の作業を指します。道路や空港、ダムなどの大規模な工事において、土砂の掘削や運搬、盛り固めや埋め戻しといった作業を中心に行います。そのため、ブルドーザー、スクレーパー、油圧ショベル、ホイールローダーなどの多種多様な建設機械を使用するのが一般的です。

機械土工業務は、人力では達成困難な作業を効率的に実施するために、クレーン・パワーショベル・ブルドーザーなどの重機を操作します。これらの機械操作には特定の免許が必要であり、多くの場合、先に人力土工としての経験を積んだ後で、機械土工として活躍するケースが大半です。

機械土工業務は、機械の正確かつ安全な操作が重要であり、訓練を受けた熟練の機械運転手や土木作業員が行う傾向にあります。

土木作業員の仕事を有利にする資格

土木作業員として働くうえで、以下の資格を有しておくことで優位に立てると考えられています。

  • 土木施工管理技士
  • コンクリート技士
  • 重機・建機の資格

ここでは、土木作業員を目指す際に押さえておきたい、関連資格について解説します。

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事の施工管理を専門とする国家資格で、主任技術者や監理技術者を目指す者にとって必須となります。主な業務には、工程や安全、品質・原価の管理、施工計画の作成、用地確保から役所への手続き、書類処理、そして周辺住民への説明が含まれます。

土木施工管理技士は1級と2級の2つの区分があり、2級は主任技術者、1級は監理技術者としての資格を得ることが可能です。1級資格を持つことで、より広範な職場で活躍する機会が広がります。

コンクリート技士

コンクリート技士は、コンクリートの製造から施工、配合設計や試験、検査・管理・設計といった日常業務を担当する技術者のことです。公益社団法人日本コンクリート工学会が行う試験に合格し、その後申請することで称号が得られます。

コンクリート技士は建設産業の進歩と発展を目指し、コンクリートに対する信頼性向上を目的として創設されました。

生コンクリート業をはじめ、建設業やコンクリート製造業など幅広い職種で求められる資格であり、更に上位の資格としてコンクリート主任技士が存在します。コンクリート主任技士は、コンクリートの製造や工事、研究の計画・施工・管理・指導を担当することが可能です。

重機・建機の資格

土木作業員として働くうえでは、重機・建機に関連する資格の取得も推奨されます。

例えば「大型免許」や「大型特殊免許」が挙げられます。重機を公道で運行するためには大型免許や大型特殊免許が必要で、さらに重機の種類によっては特定の資格や講習を受けなければなりません。

他にも「建設機械整備技能士」や「建設機械施工管理技士」などの資格取得が推奨されます。建設機械整備技能士は、建設機械や重機の整備を行う技術と知識を証明する国家資格です。一方、建設機械施工管理技士は建設工事の施工管理を担当する資格を指します。

土木作業員は未経験でも挑戦できる?

土木作業員は、未経験者でも挑戦可能な職業です。現場での作業の一部は専門的なスキルや知識が必要とされないため、学歴や経験に関係なく誰でも取り組むことができます。特にこの業界は日雇いや臨時雇用に対応しているため、働く意志があればすぐにでも始めることが可能です。

初期段階では、荷物の運搬や先輩のサポートといった単純な土工業務が主な仕事となります。これらの作業は専門的な知識を必要とせず、徐々に現場の流れや作業の手順を覚えていくことになります。すなわち、最初は専門的な作業を任される心配はないということです。

土木作業員として働く最大のメリットは、やる気と行動力があれば、働きながら知識や経験を増やし、自身のキャリアを高めることが可能である点にあります。資格取得を目指し、一段と専門的な作業を任されるようになれば、更なるキャリアアップも視野に入れられるでしょう。

実際、作業を行うスタッフから作業を監督するスタッフにステップアップするためには、必要な資格を取得することが求められます。また、重機の操作など、より専門的な作業を行う際には、適切な資格や免許が必要となります。このように、土木作業員の仕事は、自身の成長とともに範囲も広がっていくのです。

土木作業員の適性について

実際に土木作業員として働くのであれば、自身の適性を理解しておくことも重要です。主に、以下の適性に当てはまる方が、土木作業員に向いていると判断できます。

  • 体力に自信がある
  • 注意力がある
  • 集中力に自信がある
  • 気候の変化に強い

ここでは、土木作業員の適性について解説します。自身に当てはまっているか、客観的に判断したうえで土木作業員を目指すか決めましょう。

体力に自信がある

土木作業員は重たい資材の運搬や長時間の立ち仕事が求められるため、体力に自信がある人に最適な職業です。しかし、体力に不安がある人でも、筋力トレーニングやジョギングで体力を鍛え、正しい姿勢で作業し、適度な休憩を取ることで、仕事に対応することが可能です。

体力が必要とされる一方で、鍛錬の方法さえ知っていれば、誰でも土木作業員として活躍することができるでしょう。

注意力がある

土木作業員は確かに体力を必要とする職業ですが、実は最も重要な能力は「注意力」であるとも考えられます。

作業員は重機や掘削工具などを扱うため、些細なミスが大きな怪我を引き起こす原因になるでしょう。また、土木作業は協同で行われるため、自分のミスが他の仲間に影響を及ぼすこともあります。このような事態を避けるためにも、土木作業員には注意深さが求められるのです。

集中力に自信がある

土木工事の現場では、日々同じ作業の繰り返しとなることが多いため、高い集中力が必要とされます。何日も同じ作業を行うと、人間の性質上、注意力が散漫になりがちです。

しかし、その結果作業が雑になると、作業のクオリティが下がり、顧客からのクレームの原因となる可能性があります。さらに、それが事故につながる可能性も否定できません。

土木工事の現場では、単調な作業でも、一日を通じて高い集中力を保てる人材が求められています。作業のクオリティを保つだけでなく、安全面でも非常に重要な要素です。

集中力は、一見すると目立たない能力かもしれませんが、現場の安全と品質を左右するほど、土木工事においては価値のある能力と言えるでしょう。

気候の変化に強い

土木作業員は屋外で作業を行う仕事であるため、気候の変化に強い人が向いていると考えられます。夏は炎天下の中、冬は凍える寒風の中で作業をすることもあるため、気候の変化によって体調を崩しやすい場合、土木作業員として働くことに辛さを感じてしまうかもしれません。

とはいえ、気候の変化に弱い場合でも、実際に現場で数か月勤務することで解決することもあるため、あくまで適性の一つ程度として認識しておきましょう。

土木作業員の将来性について

土木作業員として働き続けるうえでは、業界としての将来性についての知識を得ておくことも大切です。

土木作業員は、安定した需要と将来性が期待できる仕事です。道路・トンネル・橋梁・河川・ダムなど、土木作業員はインフラ整備や災害復旧を行います。これらのインフラは定期的なメンテナンスや補修工事が必要であり、景気の影響を受けにくいという特徴があります。

また、住宅などの建物や外構は必ず老朽化していくため、仕事がなくなるリスクは低いといわれています。

現在、土木作業員の需要は安定していますが、人材は慢性的に不足しているのが現状です。国土交通省の発表した「建設業及び建設工事従事者の現状」でも、ピーク時の619万人(平成4年)と比べ、平成28年段階では492万人と、大幅に減少していることがわかります。

さらに高齢化や少子化により、人材不足はさらに深刻化すると予想されるでしょう。そのため、土木・建設作業員の求人は今後も増加することが予想されます。

まとめ

今回は、土木作業員の仕事内容について解説しました。土木作業員の仕事は大まかに土工業務と機械土工業務の2つがあり、それぞれ業務内容と求められる役割が異なります。

また土木作業員として働き続けるうえでは、土木施工管理技士やコンクリート技士、重機・建機に関連する各種資格を取得することも推奨されます。土木作業員は未経験でも就業できますが、職種としての適性を理解のうえで働くことが重要です。

業界としての将来性は今後も期待できると考えられるため、本記事の内容も参考にしつつ、この機会に土木作業員としてキャリアを重ねていくことを検討してみてはいかがでしょうか。