歩掛とは?初心者向けに計算方法・メリットをわかりやすく解説

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目次

歩掛(ぶがかり)とは、ひとつの作業ごとに必要な手間を数値化したものです。

正確に工事費用を見積もるために、歩掛の使用は不可欠です。

しかし、いきなり「歩掛を使って計算」といわれても初心者の方は困ってしまうでしょう。

そこで、この記事では

  • 歩掛の概要
  • 歩掛の計算方法
  • 標準歩掛の概要
  • 歩掛を使用した労務費の計算方法
  • 歩掛を使用するメリット
  • 歩掛を使うときの注意点

上記について解説していきます。

具体的な例を用いながら、わかりやすく説明するので計算に苦手意識のある方でも問題ありません。

正確な見積りを作るためにも、歩掛の使い方・目的を理解しておきましょう。

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歩掛とは?

歩掛(ぶがかり)とは、ひとつの作業にかかる手間を数値化したものです。

工事費用を見積もる積算作業において、歩掛の使用は欠かせません。

なぜなら、工事費用の見積りは、作業現場ごとに取り付け場所・施工方法などで細かく条件が異なるからです。

材料費ならば、単純に「材料単価×数量」で算出できます。

一方で労務費に関しては、作業時間だけでなく作業量も考慮する必要があります。

たとえば

  • 難易度の高い2時間の作業
  • 難易度の低い2時間の作業

上記の場合、両者の工事費用は同じではありません。

歩掛は作業現場や材料、施工方法、難易度などで異なる作業量を設定しています。

そのため歩掛を使用することで、正確に工事費用を見積もれるようになるでしょう。

歩掛・人工の計算方法

それでは、歩掛の計算方法について解説していきます。

歩掛から算出する工数の単位を、人工(にんく)といいます。

人工の求め方は、以下のとおりです。

人工=(1人×作業時間)÷8時間

1人工は、1人の作業員が1日(8時間)に行える作業量をあらわしています。

具体的に

・換気扇を3台取り付ける

・1人で取り付ける場合は、1台につき2時間30分かかる

こちらの例で、歩掛を計算してみましょう。

まずは人工を求めます。

(1人×2.5時間)÷8時間=0.31人工

換気扇を1台取り付けるにつき2時間30分かかるので、0.31人工です。

人工を求められたので、3台取り付ける場合を考えます。

0.31人工×3台=0.93人工

0.93人工なので、作業完了までに約7時間30分かかることが計算できました。

歩掛の計算方法を知っておくと、複雑な施工内容でも簡単に計算できるようになります。

標準歩掛について

歩掛について理解できたところで

  • 標準歩掛の概要
  • 標準歩掛の設定基準

上記について解説していきます。

国土交通省が定めている基準

歩掛を求めるには、施工内容・材料に応じて工数を把握する必要があります。

しかし、はじめて工事費用を見積もる際は「何を参考にしたらよいのか」がわからないでしょう。

そこで重要となるのが、「標準歩掛」です。

標準歩掛とは、材料の種類・サイズごとに標準的な値を定めたものです。

国土交通省のホームページに掲載されている「公共建築工事標準単価積算基準」の中で、標準歩掛が記載されています。

無料で閲覧できるので参考にしてみてください。

なお「公共建築工事標準単価積算基準」は実務調査・技術革新によって、改訂されることがあるので注意しましょう。

標準歩掛の設定基準3つ

標準歩掛は、以下の3つの基準によって定められています。

  • 年齢
  • 資格
  • 経験年数

標準歩掛は、健康な青年・壮年を想定して設定されています。

作業員の平均年齢が高い現場のときは、標準歩掛を調節して使用しましょう。

また、現場において必ず1人は資格保持者を配置しなければいけません。

歩掛の算出は、現場内の資格保持者の割合によって変更する必要があります。

経験年数によっても、歩掛は左右されます。

たとえば、経験年数15年のベテランと、経験年数1年の新人では作業にかかる時間が大きく異なるでしょう。

歩掛を使用して労務費を計算する手順

歩掛を使用し、労務費を計算する手順について解説します。

  • 歩掛を把握する
  • 労務単価を調べる
  • 労務費を計算する

それでは、各ステップを解説します。

①歩掛を把握する

労務費を計算するための第1ステップとして、歩掛を把握します。

歩掛を把握するためには「公共建築工事標準単価積算基準」に記載されている標準歩掛を参考にしましょう。

現場作業員の年齢・資格・経験年数といった情報をふまえて調節すると、より正確な値を求められます。

②労務単価を調べる

次に労務単価(公共工事設計労務単価)を調べます。

労務単価とは「公共事業における建設労働者の賃金単価のこと」です。

都道府県や職種によって労務単価が異なります。

2023年3月から適用される労務単価によると、同じ普通作業員でも都道府県によって賃金は大きく異なっています。

東京都……23,900円

鳥取県……16,300円

※所定労働時間内8時間あたりの単価

労務単価は農林水産省と国土交通省による調査結果にもとづき、毎年更新されています。

なので、最新の労務単価を確認するよう注意しましょう。

2023年3月から適用される労務単価は「令和5年3月から適用する公共工事設計労務単価表」をご確認ください。

③労務費を計算する

歩掛と労務単価を把握したうえで、労務費を計算します。

労務費の求め方は、以下のとおりです。

労務費=所要人数(設計作業量×該当作業の歩掛)×労務単価(基本日額+割増賃金)

具体例を用いながら、実際に労務費を計算してみましょう。

  • 取り付け1台につき「0.31人工」必要な換気扇を3台取り付ける
  • 労務単価は24,300円

先ほどの労務費の計算式にあてはめると

(3台×0.31人工)×(24,300円)=22,599円

労務費の合計が22,599円になります。

以上の3つのステップを踏むことで、労務費を計算できます。

歩掛を使用するメリット

歩掛を使用するメリットは以下の5つです。

  • 赤字工事を防げる
  • 顧客からの信頼が高まる
  • 正確にスケジュールを管理できる
  • 適切な労務費を把握できる
  • 経営が強化される

1つずつ解説します。

赤字工事を防げる

歩掛を使用して適正な工事価格を知ることは、赤字工事の防止につながります。

なぜなら、正確な見積もりを作成できるからです。

なんとなくで見積もりをしていると、工事が終わったあとに「なぜか赤字になってしまった……」といった事態になる可能性があります。

1つの項目だけで見ると、小さな誤差に感じるかもしれません。

しかし、小さな誤差が積み重なっていくと、工事全体で大きな誤差を生んでしまいます。

なので、歩掛を用いた正確な見積もりは、赤字工事を防ぐために必要なのです。

また、赤字工事を防ぐためには、現場進行中での予算の把握も必須になります。

実行予算については「実行予算とは?実行予算書の作り方をエクセルテンプレートを元に解説!」をご覧ください。

顧客からの信頼が高まる

歩掛を活用すると見積もりの根拠が明確になるので、顧客からの信頼が高まります。

もしも取引先から「以前と似たような工事なのに、なぜ費用が異なるのか」と質問されたときに、どんぶり勘定だと理由をうまく説明できません。

積算根拠を説明できないと、顧客からの信頼を失ってしまいます。

歩掛を使うと「施工方法・材料が前回とは異なるので」といったように、取引先に対して具体的に積算根拠を示せるでしょう。

具体的な見積もりの作成方法は「建設業での見積書の書き方を紹介!記載すべき内容から作成方法まで」でも詳しく解説しています。

正確にスケジュールを管理できる

根拠なく見積もりを行っていると、スケジュールがあいまいになりやすいです。

歩掛を使うことで、正しい工数を算出できます。

正しい工数を知ることで、規模の大きな工事でもスムーズにスケジュールを管理できるでしょう。

「どの箇所に、どれだけ工数がかかるか」が明確になるので、トラブル・天候の影響で日程が変更になっても柔軟に対応ができます。

適切な労務費を把握できる

労務費は施工内容や材料などで変化するため、正確に算出するのが難しいです。

適切な労務費を把握できる点が、歩掛を活用するメリットです。

正しい労務費を知ることで、赤字工事を防げます。また、自社の状況を理解できるので、利益の向上にも期待できます。

経営が強化される

工事費用や労務費を明確にすると、自社の課題・強みが浮かび上がってくるでしょう。

見積もりの精度が上がることで、作業現場の「どこに無駄があるのか」が見えてきます。

「どんぶり勘定のほうが、短い時間で見積もり作業を終えられて良い」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、不明瞭な見積もりは、さまざまな無駄を生み出して経営悪化の原因になり得ます。

歩掛の活用は経営状況が把握できて、経営力の強化・課題改善へとつながるのです。

歩掛を使うときの注意点

歩掛を使うときの注意点は、自社に合わせて歩掛を調節することです。

作業員の年齢・資格・経験年数によって歩掛は変化します。

標準歩掛は、あくまで「標準的な値を定めたもの」であると認識しておきましょう。

歩掛を調整するためには

  • 日報に施工条件・材料・サイズなどを細かく記載する
  • 現場ごとに日報の内容を集計する
  • 自社独自の歩掛をデータベース化する

上記3つの取り組みが重要です。

たとえば、標準歩掛で0.35人工掛かる、Aという作業があったとします。

その作業Aに対して

  • ベテラン作業員Bさん……作業Aに対して0.30人工が必要
  • 新人作業員Cさん……作業Aに対して0.38人工が必要

ベテラン作業員Bさんが作業すると標準よりも工程を短縮できます。

一方で新人作業員Cさんが作業するときは、標準歩掛を使ってスケジュールを作成すると、日程に遅れが発生するかもしれません。

つまり、自社独自の歩掛と標準歩掛の2つの観点で考えると、より正確な値を算出できます。

標準歩掛を参考にしながら、自社に合わせて値を調節するようにしてください。

まとめ:歩掛を活用して正確に積算を行おう

今回の記事は、歩掛の計算方法や注意点・メリットを解説しました。

歩掛を使用すると

  • 赤字工事を防ぐ
  • 顧客からの信頼が高まる
  • 正確にスケジュールを管理できる
  • 適切な労務費を把握できる
  • 経営が強化される

などのメリットがあります。

標準歩掛を参考にし、自社の状況に合わせて調整しながら歩掛を活用しましょう。

歩掛の計算は細かい作業なので、面倒に感じるかもしれません。

しかし、どんぶり勘定を行っていては見積もりの根拠が不明確になり、顧客の信頼を失う可能性もあります。

正確な見積りを作成し顧客の信頼を得るために、ぜひ歩掛を活用してみてください。

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